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［和side］
「大丈夫だよ、
智にぃ。誰もいなくなったり、しないからね…」
智「…っ、んっ、んっ…」
カウンセリングを重ねているけど、夜は夢に
魘されて起きてしまうことも多くて。
どんな夢を見ているのかは分からないけど
「こわい」って泣いて震えるんだ…
ベッドに潜り込んで背中をさすっていたら
少しずつ力が抜けてくる。
翔「大丈夫だからね…智にぃ」
翔にぃが手を握ってくれて。
翔「もうすぐ寝れそうだね。寝付くまで頼むね」
その言葉に静かに頷いて肩や背中をさすってみる。
いつも大きくて、頼もしくて何でも受け止めて
くれる、智にぃの大っきい背中。
それが今は小さくて震えてて…
「大丈夫だからね…いつもの何倍も、俺がお返し
するんだから…」
震える背中をさすりながら、耳元で声を掛けたら
コクコクと頷いてくれた。
智「…っ、ん…んっ…ん…」
しばらく体に力を入れて震えてた智にぃは
静かに寝息を立て始めて。
翔「ありがとな、かず。寝れたね」
「ん、よかった」
眠り始めると少しずつ力が抜けてくるから…
翔にぃと様子を見ながら、仰向けに体制をかえる。
事故のトラウマを背負いながら、幼い俺らを
育ててくれて、長男として今まで頑張ってきて
くれたから。
その恩返しが少しでもできたら…
そんな風に思う。
［智にぃside］
交通事故が恐い…
大事な人を失うのが恐い…
フラッシュバックしてしまったら、平常心を
保つことが出来なくて、弟たちにいっぱい心配を
掛けてしまった。
でも、その度にみんは言ってくれたんだ…
『どこにもいかないよ、ずっと一緒だよ』
『いつも智にぃに守ってもらってるから…
もちろん、今もね』
『俺らもたまには、智にぃにもらってる優しさと
強さを返したいから』
そんな風に言ってもらえて、それに加えて
カウンセリングもしてもらって、自分で少しずつ
感情のコントロールが出来るようになってきた。
それでも夢を見てしまうとやっぱり恐くて…
「…っ、ん…んっ…」
夜中に過呼吸を起こしかけたけど、みんなが
傍にいてくれた。
体に触れてもらって、抱き締めてもらって
優しい言葉をもらって…
「…っ、ありがと…」
みんなが傍にいてくれて、優しくしてくれると
不安で恐かった気持ちが減っていく。
こうやって一歩ずつなら進んでいけるかも…って
そんな気持ちになる。
「みんなが、いてくれてよかった」
素直なままを口にする。
大丈夫、乗り越えられそう。
俺、幸せだ…
END
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作者名：空
| 作成日時：2017年2月18日 9時
