5人で生きてゆく…part50 (ページ11)

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2461.【次男、貧血で入院】ページ11

［智にぃside］

先「この数値みたら
翔くんだって入院させるだろ？」

翔「…」

フラフラしながら限界になるまで働いて、
「お先に失礼します」って言葉と共に医局に
倒れ込んだらしい。

先生がそのまま付き添ってくれていた。

血液検査のデータを目の前に突き出されて
反論は出来ないけど「入院はしたくないです」って
同じ言葉を繰り返す翔に、先生も困り顔。

だけどこのままじゃ永遠に平行線だから…

先「翔くんに拒否権はないから。強制入院」

今までになく強めな言葉で言い切った先生。

翔が口を開こうとしたけど、それに被せるように
「智くん？着替えとか洗面用具とかお願い」って。

俺は先生に軽く頭を下げて、翔には言葉を掛けずに
診察室を後にした。

翔は当直明けだったから、とりあえず眠って
くれるだろう。

俺は夕方に帰宅する双子に説明をして、それから
一緒に病院に戻ればいいやと思って。

先生が傍にいてくれるから安心。

厳しい人だけど、翔のことを本当に大切に思って
くれていることは知っているから。

和潤「ただいま～」

学校が終わったら真っ直ぐに帰宅するように
伝えてあったから15時過ぎには双子が帰ってきて。

翔が倒れたことや入院になることを伝えたけど
和はポロポロ泣き出してしまって「家に連れて
帰ってきて欲しい…」って。

潤「病院にいたら安心だよ？翔にぃ家だと
無理しちゃうだろ？」

和「…っ、んくっ、で、も、家が、いい…」

潤が気の利いたフォローをしてくれるけど駄目で。

「クゥーン…」

双子の帰宅を心待ちにしていて、散歩に連れて
行ってもらえると思っていたあらしはソワソワ…

落ち着かなく和の傍を歩き回って心配そうな
声を上げてる。

和「…っ、んっ…病院、は嫌。家が、いい…」

「…ん？和は、何が心配？」

和「…っ、ん、んっ…、家に、いて、ほし…」

帰宅したらいるはずだった翔の存在がないことから
始まって、離れ離れになってしまうことに不安を
感じているんだろうか…

「先生が担当医してくれるって言ってたから。
話し聞きに行ってみようね」

先生が根拠のある説明をしてくれた方が、和も
納得できると思って。

病院や医者に対して、不信感と恐怖心が大き過ぎる
から、まずは信頼することから始めないと。

潤「行こっか。一緒にな？」

和「…ん」

不安そうな和の手を潤が引いてくれる。

頼もしくて助かっちゃう。

入院用の荷物、予めトランクに入れておいて
よかった。