5人で生きてゆく…part48 (ページ10)

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［潤side］

和が不眠になってから
何度も見る夢。

内容ははっきり覚えていないけど
頭の中に残るフレーズがあって…

『潤が元気な分、和は病気になる』

『元気な潤を見て、和は悲しんでいる』

誰かに言われるワケではない。

ただ、夢から目覚めた時に頭の中で
エンドレスに繰り返されるんだ…

そんなんが続いているから、俺は自分を
傷付けることで苦しみから逃れようとしたのかも
しれない。

自分が傷付いて元気でなくなれば、和は悲しまずに
済むだろうと思った。

だけど、そんなことをしても心が救われる
わけではなくて。

行為をしながらも罪悪感と後悔と…

そしてどこにもぶつけられない悲しみで
心がいっぱいになる。

でも、そんなのは最初だけ。

頭を打ち続けるうちに、感情はどこかにいって
意識もなくなって。

フワッとした他人の気持ちみたいな感情が
残るだけ。

衝撃も痛みも、感情もなにもない。

ただただ無心で、体が動くままに身を任せるだけ。

［智にぃside］

「冷やす？」

翔「そうだね。その方がいいかもしれない」

翔からLINEがきて部屋へと向かったら
腕の中で寝息を立てる潤がいて。

何があったのかを教えてもらいながら
翔と2人で、潤を抱えてベッドへと移動させる。

保冷剤をタオルで巻いて、左頭部へ。

自傷行為をした理由は分からないし、それが
意識的なのか無意識なのかも分からない。

ただ、心が悲鳴を上げていることは確かだから。

助けてやりたいって思うんだけど…

「じゅん…？こっちおいで？」

翔「それ貸して？手、離して？」

自傷行為を発見した翌日、今度はカッターを
手首に当てている。

無理矢理に奪い取ろうとしても、それが刺激で
カッターを引いてしまうかもしれなくて。

声の掛け方とタイミングが難しいところ…

「じゅーん、おいで…」

そっとそっと傍に…

翔「…っ！潤！！」

一瞬でサッと引かれたカッター。

溢れ出す血…

潤「…」

慌ててタオルを当てた翔と、カッターを
奪い取った俺。

潤は一点を見つめてボーッとしながら、ただ
俺らにされるがまま。

翔「ちょっとキツめに押さえておいて
もらっていい？ガーゼ取ってくる」

「ん、分かった」

手首に当られたタオルを、翔に代わって
ギュッと押さえる。

「…じゅん？」

潤「…」

ポロリ…と零れた涙は、ポロポロと続けて
溢れ始める。

潤「…っ、んっ…、ん…」

「ん…泣いていいよ…」

そっと抱き寄せて…

俺らに出来ることはなんだろう。