2396.【末っ子の心の変化】 ページ46
［雅にぃside］
和「ん…ん〜…」
翔「辛いな…ちょっと待ってね」
1週間前に中発作を起こして、4日間入院して
退院してきたんだけど、昨日から高熱。
発作後の薬の影響で水分制限がいつもの倍くらい
厳しくって…
それに加えて、発作の恐怖と体調不良と。
もうね、心が限界に近いことが見ていて分かる。
でも、こんな状態で再び発作を起こして入院なんて
ことになったら、それこそ心がもたないから…
智「泣かないよ、かず。今ね、氷くれるって」
和「…んせ、い、きた…？」
智「んーん。こないよ。和の傍には来ない」
和「…ほん、と？」
智「遠くにいるからね、大丈夫…」
魘されて夢を見るみたいで、あの先生の存在にも
怯えてる。
一度に色んなことに対処しないといけなくて
俺らもいっぱいいっぱい。
潤のフォローまで、なかなか手が回らない。
和のことを心配して、誰よりも不安な思いを
抱えているのは潤なのに…
もちろん「辛いよ」「助けて」って潤が求めて
くれれば何とかしなきゃって思いになるんだけど。
それをしないのが潤だから…
一人で不安な思いを閉じ込めて、俺らに甘えたり
弱音を吐くことも出来ず。
寂しさも大きかったんだろうね…
［智にぃside］
翔「かーず？」
和「…」
翔「…分かるか？」
和「…ん、ん…」
意識が朦朧として、反応が悪い。
これ以上悪化してしまったら入院になって
しまうから、俺らも必死。
「入院だけはしたくない」「先生いたから恐い」
夢と現実がゴチャゴチャになって、朦朧とした
意識の中で、それでも和が伝えてくる言葉。
とても無視することなんて出来なくて。
俺らは和に付きっ切りだ。
和「…んせ、い、きた？」
翔「来ないよ。ずっと来ない」
和「もし、きた、ら…？」
翔「大丈夫。にぃちゃんが守ってやる」
いつもは出さないような優しい声で安心させて
あげてから、おでこをくっ付けて「大丈夫」って
何度も。
そんな姿を見ながら、ポロポロ涙を流していた潤。
俺らは潤に「心配しなくて大丈夫だよ」って声を
掛けたけど…
今なら分かる。
あの時の涙の意味。
もちろん心配な気持ちが大きいけど、寂しさと
羨ましさもあったんだろうなって。
和「ひとり、しない、で…？」
「ずっといるよ…」
和の傍で過ごす日々。
目を離すことが怖くって、ほんとに一日中
寄り添っていた気さえする。
俺らにとっては和も潤も同じように大切で
離れがたい存在で、それを忘れたわけでは
なかったのに…
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作者名：空
| 作成日時：2016年10月26日 18時
