2149.【5】 ページ49
［和side］
翔にぃに
「よしよし」って沢山頭を撫でられて。
なんだか、からかわれてる気もするけど
大好きな匂いがして、顔を押し付ける。
翔「よしよし…いい子だな。笑」
「ふふ…」
翔「点滴終わったら帰るか？
ちょっとね、発作の心配あるんだけど…」
「…えっ、発作なる、の…？」
思ってもなかったこと言われて胸がギュッと
苦しくなる。
発作なんて嫌だもん…
あんな苦しい思いしたくないもん…
翔「かーず…泣くな。発作にならないように
頑張るから。な？」
知らないうちに…涙が流れていたみたい。
翔にぃが拭ってくれる。
「…っ、んくっ…、家が、いい…」
翔「ん、帰ろうな」
「…ょにぃ、ずっと、…てくれ、る…？」
翔「ん、いるよ。家に帰ってからも、ずっと」
「ん…」
不安もあって、離れたくない…
そんな俺の思いを翔にぃは、いつだって
受けとめてくれるもんね。
翔「点滴、ゆっくり入れてるから。
寝れるなら寝ちゃいな？どっか苦しかったり
痛かったりする？」
「ん、ん。へいき。寝てもどこも、いかない？」
翔「ん、どこも行かないよ。大丈夫…」
背中をトン…トン…って叩いてもらって落ち着く。
安心感に包まれて、眠りに堕ちた。
［翔にぃside］
先「お、機嫌直ったか？笑」
「はは！はい、この通り。笑」
心配してきてくれたんだか、からかいにきたんだか
分かんないけど、先輩来てくれて。笑
俺の腕の中で眠る和の頭を撫でてくれる。
第三者に、こんなに愛されて幸せ者だよね…
先「起きないだろ？寝かせるの手伝おうか？」
「はい、お願いします」
先輩に支えてもらいながら診察室のベッドに
寝かせてブランケットを掛ける。
先「薬、持って帰るんだろ？指示くれれば
用意してくるよ」
「すみません、何から何まで」
先「はは！可愛い後輩と和くんの為だからな」
「ありがとうございます」
薬剤の調達に行ってくれた先輩に心の中で
何度もお礼を言う。
心から優しい人。
俺らに希望を与えてくれた人。
和に、もう一度他人を信じる機会を与えて
くれた人。
「よかったな…かず。有難いね…」
寝息を立てる和の頭をそっと撫でる。
鎮痛剤がよく効いてくれて、穏やかな寝顔。
時々寝顔を眺めながら、ベッドサイドで智にぃに
メールを入れて。
そんなんしてたら、あっという間に1時間ちょっと
が経っていて…
点滴を片付けて和を起こす。
針は留置したままね。
和「ん、ん…」
目を擦った和と目が合う。
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作者名：空
| 作成日時：2016年2月10日 18時
