2148.【4】 ページ48
［先輩side］
態度では素直に
表せないけど、翔くんが来てくれてホッとした
気持ちもあったんだと思う。
翔「寝ちゃいました…笑」
後片付けを済ませて戻ったら、さっきと変わらない
体制で寝息を立てていた和くん。
翔「薬、効いてくれるといいんですけどね…」
「そうだな」
発作を薬で100%コントロールすることは出来ない。
タイミングや薬の種類…たまたま防げたってことも
過去には何度もあるんだけどね。
点滴を用意しつつ「フォローしてもらって
いいですか？」って。
翔「かず？寝てるとこごめんな」
肩を軽く叩いてから、髪の毛を撫でた翔くん。
大事なものに触れる優しい手つき。
和「ん、ん…」
翔「点滴だけさせてな。頭が痛いのもラクに
なるから」
和「…い、の。迷惑、やだ、から…」
翔「迷惑なんかじゃねーもん。腕、引くよ？」
和「…ん、ん〜…」
怒りながら不満そうな声を漏らした和くんだけど
腕を引かれても背を向けたまま大人しくしてる。
翔「このまま固定してるんで…お願いして
いいですか？」
「ん、了解」
翔くんが声を掛けるのに合わせて
消毒をして点滴の針を構える。
翔「かず？すぐ終わるからな…」
固定の手にしっかり力が入ったのを確認して
点滴の針を刺した。
ちょっとだけ嫌がったけど、パニックになることも
なく処置を終えることができた。
［翔にぃside］
「おしまいな」
小さく震える背中にそっと手を当ててさする。
とりあえずこれで一段落。
先輩が「また様子見にくるな？」って診察室を
出ていった。
「かず…？辛かったの気が付いてやれなくて
ごめんな…」
和「ん、いいの…」
「なんで？」
和「だって…体調崩してばっかり。
迷惑だから、嫌なんだも、ん…」
背を向けたままボソボソ喋って可愛い奴。笑
「かーず。こっち向いて？」
和「やだ…」
「向けって。笑」
ちょっと無理矢理に引っ張ったら「ん〜…やーだ…
やめろやっ」って、これまた可愛くて。笑
無理矢理に腕の中にギュッとおさめた。
「俺ら兄弟だろ？」
和「…」
「迷惑掛けたっていいじゃん。嫌だなんて
思ったこと一度もねーよ？」
和「…」
「お前だってそうだろ？迷惑掛けられて嫌だって
思ったことあるか？」
和「…んーん」
腕の中の和は少し考えてから首を振った。
それから「だって、みんなのこと好きだもん。
迷惑だなんて思わないよ」だって。
その言葉、そっくりそのままお返ししますよ。笑
「ばーか。笑」
和「ふふ…」
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作者名：空
| 作成日時：2016年2月10日 18時
