5人で生きてゆく…part43 (ページ46)

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［先輩side］

翔くんから
情報をもらってたから、和くんが少し前まで
体調を崩していたことは知ってた。

もちろん「回復しました～」って連絡もね。笑

翔くん、自分のことみたいに「先輩、聞いて
くださいよ～」ってハイテンションで報告して
くるからね。

いつもは落ち着いていて、クールな翔くんが
回復の報告の時ばかりは、嬉しそうに。

和くんが言うように「迷惑」は掛かっていないと
俺は思ってる。

あの4人を長年見てたら断言できる。

でも、ここでそれを告げてスパッと切って
しまったら、和くんの気持ちが済まないと思った
から診察させてもらうことにした。

「大丈夫。深呼吸、深呼吸…」

聴診器を滑り込ませたらビクッとして、無意識に
体を引こうとするから、背中に手を回して
それを制する。

速い心音と共に聴こえてくるのは若干の雑音。

「背中も聴かせてな」

今度は俺のお腹に凭れさせるようにして
背中を聴診していく。

体には力が入っているけど、これでもかなりの
進歩。

転院してきた当初は、聴診するだけでパニック
だったし、その後も何かと泣かれていたから。笑

「よし、いいよ。こっち向ける？」

和「…ん」

「目、診るね」

和「…っ！や…」

顔に手を当てた途端、勢いよく首を振って拒否。

「大丈夫…診るだけ」

背中に手を当ててゆっくり声を掛けたら、何度目
かでようやく顔を上げてくれた。

「大丈夫。恐いことないからね…」

その後、血圧と簡易採血もさせてもらって
ベッドに寝かせてエコーの準備。

和くんには「翔にぃにも言わないで」って
言われてるけど、実は聴診の準備をしに
行った時点で連絡済。

和くんは翔くんの担当患者だからね。

翔くんは電話でものすごく心配していたけど…
「できるだけ先輩に任せたいです」って。

だけど、診察を進めるにつれて分かるのは
発作の前兆の様な症状が出ていること。

主治医の判断が必要になってくるから…

「これからエコーするから来てほしい」って
再び連絡を入れて、和くんの元に戻る。

「エコーするけどできる？翔くん来てもらう？」

検査となれば和くんの不安は大きいだろうから
ちょっとした賭けだったんだけどね。

和「ん、ん。翔にぃ呼ばない。先生、やって…？」

和くんなりに意地もあるみたいで「大丈夫」って
頷いているから…

「じゃあ、すぐ終わるから頑張ろうな」

そっと頭を撫でて、検査の準備を始める。

ビクビクしてるけど、気を紛らわせてあげれば
進められそう。