5人で生きてゆく…part41 (ページ36)

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2036.【5】ページ36

［智にぃside］

検査の結果、潤の脳には
病的な異常はなかった。

一安心すると共に『やっぱりストレスか…』って
思いがのし掛かる…

1週間前、和の検査に付き添わせなければ
良かったのかもしれない。

あの時、潤は和の手を握り締めながら
辛そうに顔を歪めて静かに涙を流していたから。

カウンセリングルームの椅子に座りながら
しばし、そんな事を考えていたら…

潤「…家、帰りたい…」

潤の小さな声で我にかえる。

カ「そっか、疲れたもんね。いいよ、帰ろう。
何か話したくなったら、また来てくれたらいい」

上手く返せなかった俺らに代わって、
カウンセラーが優しく答えてくれた。

潤「…んせい？俺、和の病気のこと
思い出せる、かな…？」

カ「潤くんは思い出したい？」

潤「…ん、だって、和の辛いこと…
少しでも、分けられたら…」

カ「そうだね。潤くんと和くんは、今までも
そうやって支え合ってきてたもんね」

潤「…んと？」

カ「うん、ほんと。でも…だからこそね？」

そこまで話すと、カウンセラーは目の前に
しゃがみ込んで、今までより、もっとしっかりと
潤の目を捉えた。

カ「潤くんの心が苦しい時、和くんの力を
借りて欲しい。家の中にある温かさに
気が付いて欲しい。そうすれば、潤くんの
心の充電が満タンになるはずだから…」

潤「…んっ」

小さく頷いた潤は俺らの手をとってから
「わかった」って笑顔を見せた。

「よかったね…、じゅん」

それから少し、翔に潤を連れ出してもらって
カウンセラーと話をさせてもらった。

『安心できる環境の中で、焦らずに過ごさせて
あげること』

『過ぎたことを悩んだり、悔やんだりせず
過ごすこと』

カウンセラーは最後に優しく笑って
『あの家にいれば、潤くんの記憶は戻るはず。
必要になった時にね』って伝えてくれた。

カ「もしも、いち早く記憶を取り戻す必要が
あったり、潤くんが何かを抱え込んだりした時は
迷わず頼って下さい」

「はい。ありがとうございました…」

カウンセラーと話をしたことで、俺の心も
軽くなった。

翔からは「車に戻ってるからね～」って連絡が
きていて。

潤「あっ、戻ってきた」

後部座席のドアを開けたら、コンポタージュの缶を
片手に、潤が可愛い笑顔を見せてくれた。

潤「智にぃのもあるよ！まだ温かいから
飲んでから帰ろ？」

「ふふ、ありがとう。お待たせ…」

そっと抱き寄せて頭を撫でる。

大きくなったとはいえ、まだまだ甘えん坊で
可愛い末っ子…