2021.【6】手術への決断 ページ21
［翔にぃside］
和「…だ、や…、…っん」
「すぐ終わるから。な？」
和「…っ、や…、…んっ…」
抗がん剤の効き目を確かめる検査。
すごく簡単なものだし、俺も傍に居て
やれるんだけど…
和「や…っ、んくっ…」
和は検査室への移動を拒否して
智にぃにしがみ付いてる。
ここ数日で少し幼児退行が見られたから
俺らもそれに合わせて対応してる。
副作用が辛すぎて逃避したい気持ちが、幼児退行に
現れたんだろうなって…
智「だいじょーぶだよ、かず。
検査室の入り口まで一緒にいってあげる」
「よかったな、かず。そこからは俺と
バトンタッチ。一人になる時間、ちょっとも
ないから。な？」
和「…っ、んっ…、んくっ…、…っこ」
智「ん、いいよ。おいで？」
しがみ付いてた体を、そのまま抱き上げた智にぃ。
抱っこなんて久しぶりだな…
智にぃの肩に顔を埋めてグリグリして甘えてる。
「大丈夫？そのまま連れていける？」
いくら小柄だとはいえ…ね？笑
でも、この入院でまた痩せたし「検査室、ここの
階だもんね？大丈夫」って。
安心した様に抱き着く和を見てると、俺の心も
軽くなる。
検査の結果次第では手術も視野にいれないと
いけなくなるから覚悟がね…
智「とうちゃーく…翔に抱っこしてもらおうね〜」
和「…っ、ん…」
素直に俺のもとに移ってくるから可愛くて
ギュッと抱き締める。笑
「エコーだけな？検査室の中に先輩いるから
手伝ってもらおうね…」
和「…っん、…んせ、いだけ…」
「ん、先生だけ。大丈夫」
和「…ん」
よかった…第一難関クリア。笑
先「和く〜ん、いらっしゃい」
先輩は和の頭を優しく撫でてくれた。
和「…っ、…ょにぃ…」
和が俺から離れないことも想定内。
検査は先輩に進めてもらえるから大丈夫。
「ここにいるから…な？和は寝転んでくれる？」
和「…っ、んっ…や、…ない、しない…」
先輩が「くっ付いたままでも大丈夫だからね」って
声を掛けながら和を寝かせてくれる。
腕は俺の首にしがみ付いたままだから、足を
引き剥がしてね…笑
和「…っ、…や、…んくっ…、ないっ…」
先「検査しないと帰れないよ〜？笑
翔くんにくっ付いてていいから。な？
頑張れるだろ？」
和「…っ、んっ…や…」
先「大丈夫。和くんなら、頑張れるの
知ってるから」
先輩だったら、これくらい無理矢理にやっても
大丈夫。笑
信頼関係出来てるからね、すごい助かる。
足を伸ばさせてブランケットを掛けて…
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作者名：空
| 作成日時：2015年10月17日 13時
