2003.【3】 ページ3
［雅にぃside］
翔にぃのことを
酷い言葉で責めた和を、叱る気には
とてもなれなかった…
ただ、伝えたかったのは『どうにもならなかった』
ってことだけ。
当時は『和が病気』って言われて、それだけで
俺らの頭の中はパニック状態…
ケアしてあげる余裕なんて、これっぽっちも
なかった。
「…だからね、かず。ごめん…。
守ってあげられなくて、ごめんね…」
思ったままを口にして、背中をさする。
悪いのは俺ら。
俺らのうち、誰か一人でも良かった…
和の気持ちに気が付いてフォローさえしてやれれば
それで良かったのに…
和「…っ、…んっ、ん…」
こいつをこんなに苦しめるなんてね…
出来ることなら、あの検査の時に戻りたい。
それで説明してやるんだ…
『先生は和の病気を知るために検査して
くれるんだよ？』って。
『痛いけど、じっとしてれば、すぐに終わるから
動かないで頑張るんだよ？』って。
和は頭が良かったから、何の為の検査なのかと
それが、どんな方法で行われるのかを話せば
理解できたはず。
無駄に恐い思いをしなくても検査を受けることが
出来たはずだから…
和「…っ、…んくっ…」
「ごめん…ごめんね…」
俺は和に責められたとしても、翔にぃとは
違う立場だから、こうやって謝ることが出来る。
和は一度だって、俺らを責めたことはないけどね…
やっぱりどうしても行き着く先は先生。
『翔にぃは先生なのにどうして？』
『検査してくれたら良かったのに…』
だから和は、セーブが効かなくなった時は
翔にぃを責める。
分かってはいるんだけどね…
『翔にぃは検査できなかった』ってこと。
ただ、恐怖心に負けた時に、逃げ道になって
しまっているだけで…
その証拠に、落ち着けば必ず「翔にぃ、
ごめんなさい…」って謝る。
本当は、大好きな翔にぃを傷付けたくはなくって。
後悔の気持ちでいっぱいなんだと思う。
もちろん、今回もそうだった。
「ごめんなさい」って謝って、くっ付いて
甘えさせてもらって。
でも、膨らみ過ぎた恐怖心は、検査までの間に
和の心を何度も何度も陥し入れて…
和「…っ、こわ、い…、検査、こわ、い…」
夢で魘されて、ゆっくり眠れない日が続いて。
極度の不安とストレスで高熱。
翔「入院、させちゃおう…」
検査予定日の3日前、入院になってしまった…
翔「…ごめんな」
入院の事実を受け止められなくて、
点滴で猛抵抗した和は薬で眠らされ…
翔にぃは自分を責めてる…
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作者名：空
| 作成日時：2015年10月17日 13時
