5人で生きてゆく…part40 (ページ20)

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1970.【3】ページ20

［翔にぃside］

発作の前兆でもなければ
突発性の発作でもなくて。

その後の体調の落ち着きを考えると
原因が分からなくなる一方で。

俺の不安は和に伝わり、それがみんなにも伝わり…

今回のが何か大きなことの前兆なのかも…って
思うと「いっておいで」って学校に
送り出すことも不安になってきて…

和「…っ、いい、…かなくて、いい…」

唇を噛む時間も長くなって、強さも以前に増して
強くなった。

潤「…っ、あっ…」

「ん、さんきゅ…」

とうとう下唇が傷ついて出血してきてしまって…

潤がいち早く気が付いてティッシュを当てて
くれた。

「かず…これ噛んでて？」

湿らせたガーゼを噛ませて様子をみる。

智「あんまりギュってしないんだよ？
辛くなったらおいで？」

和「…っ、んっ…」

智「よしよし…」

出血したことで、和も自分が噛み締めて
しまっていたことに気が付いたから、今度は
智にぃがそれを受け止めてくれる。

腕の中におさまった和は落ち着いたみたいで
笑顔も見せてくれるようになった。

和「…したも、…る？」

智「ん？友達？」

和「…ん。明日、も？」

智「潤に聞いてみたら？」

和「ん、きいてみる」

潤が学校帰りに友達を連れてきてくれて
最近、ワチャワチャやってる。

和の様子からして、それが楽しい時間に
なってることは伝わってくるから。

ジュースを用意しにいってた潤が戻ってきて
「明日も誰かしら連れてくるよ」って。

それを聞いた和は嬉しそうにニコッと笑う。

もともと学校が好きな子だから、友達に会えて
嬉しいんだろうね。

家っていう安心できる環境でそれが叶うから
和は飛びっきりの笑顔を見せる。

そんな和を見て、潤も友達も嬉しそうに
してくれていてそれが有難い。

双子の友達は和に対して変な気を遣わない。

きっとそれもいいんだろうね。

友達にとっては、それが当たり前なのかも
しれないけど、正直ね…

それなりに重い病気を抱えて。

いつ倒れるか分からない。

そんな和の傍にいることって、負担もあるんじゃ
ないかとも思わなくないんだけど…

『お前っ、こっちよこせっ！』

『やーだねっ！』

『早くしろっ！！』

対等にワチャワチャとやっている姿を見てると
それはないのかなって。

変な気を遣わないからこそ、この子達は
『学校にこい』とも口にしない。

ただ一緒に時間を過ごして、たまに勉強をして
そして『またな』って帰っていく。

和は「楽しかった～」って笑ってる。