199.【3】 ページ49
［智にぃside］
和「やだー、
やだー、しないー」
点滴の途中で目覚めたから、
翔が軽く診察しようと
しただけなんだけど…
翔「何も嫌なことしないから。
かーず？音だけ聞かせて？」
和「やだー、やんないー」
翔「ん。分かったよ。やらないから。な？
泣くのおしまいにしよう？」
泣きながら頷いて、
伸ばしてきた手を引き寄せて
抱きしめてやる。
「大丈夫でしょ？ん？なにが嫌なの？」
和「んー、行かないー」
「病院？」
コクンと頷く和。
「病院は行かないよ？かず、元気でしょ？」
和「…ほ、んと？」
「うん、ほんと。約束。」
小さく笑った和を見てホッとする。
翔が診察したいみたいだから、
抱き寄せながら、そっと隙間を作った。
翔「かずー、ちょっとだけ音聴かせてねー？」
隙間から上手く手を滑り込ませる翔。
和「んー、やだー、おわりー」
「ん？だいじょうぶ。
ほら、嫌なことしてないでしょ？」
和「んー、んー、これがやだー」
聴診器を払おうとする和。
「そっか、そっか。
じゃあ、翔にやめてって言おうか？ね？」
コクコク頷いてる…笑
時間かせぎには丁度いいや。
「翔？和がやめてだってよ？」
翔「ん？あ、嫌だったの？
はい、じゃあ、こっちにしようね〜」
翔は上手いこと声を掛けながら、
今度は背中の聴診を始めた。
和「あ、だめー、そっちもしないー」
バタバタする和。
「あれ？背中も嫌なの？
そっか。嫌ならまた翔に、
やだって言わなきゃね。」
和「んー、智にぃが言ってー」
「え？兄が言うの？やだって？」
時間かせぎのつもりが、あまりにも素直で
可愛いから、からかいたくなっちゃった…
さっきみたいにコクコク頷いている和。
「じゃあ、兄が言ってあげるからね？
翔？和は背中もやりたくないって。」
翔「そっか、ごめんね。おしまいにしようね」
何とか終わったらしい…笑
こんな方法、今の和にしか通用しないね。
翔「おしまいねー、かず。頭痛い？」
和「ちょっと」
翔「そっか。じゃあ、もう1回だけ薬入れて
おこうかな。」
和「うん。」
翔が動き回るのを一生懸命に目で追っている。
何されるのか心配みたいだ。
「点滴から入れるだけだって。
痛いことも、嫌なこともないから
大丈夫だよ？」
俺のことも、
じーっと見てからコクンと頷いた。
やっぱり可愛いな…笑
翔「次起きたら、頭痛いの治ってるからね。」
翔が点滴の針が刺さっている手を優しく
さすったら小さく笑って眠りについた…
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作者名：空
| 作成日時：2012年11月25日 13時
