183.【4】 ページ33
［智にぃside］
ようやく処置が終わった。
ストレッチャーに寝かされた和は
口に挿管具を入れられ、ただ横たわっていた。
翔「智にぃ、おまたせ。雅紀と潤は？」
翔も苦しんだだろうに…
笑顔で問いかけてくる…
「2人とも、もうすぐ来るよ。
翔、ありがとう…」
俺は翔を抱きしめた。
看「あらら…相変わらず仲良しね。笑」
ストレッチャーを押しながら微笑まれて、
俺らは照れ笑いした。
それからしばらくして、
雅紀と潤も病室に来た。
潤は和の姿を見て、泣いた後
片時も離れなくなった…
俺らが「少し休もう？」と声を掛けても
首を振るだけで立とうとしない…
和の方もなかなか回復に向かわず、
目を覚まさないまま1日が過ぎた。
翔から、今は目が覚めても苦しいだけだから、
2.3日薬で眠らせたい…と相談された。
俺も雅紀も了解したが、
潤だけは拒否を続ける。
目を覚まさない和を見て、
もう不安しか残っていないのだろう…
翔「潤？今は目を覚まさない方が
和はラクなんだよ？分かるよね？」
潤「なんでそんなこと言うの？
そんなわけない！
目覚まさなきゃやだ！薬使わないで！」
昨日から、ろくに休んでいないし
もう考えられなくなっている潤は
一歩も引かない。
翔「大丈夫だから。寝ててもらうだけ？
いいね？」
潤「いやだ！ダメ！やらせない！！」
点滴から薬を入れようとする翔に
掴みかかる潤…
翔「じゅん…」
「ごめん雅紀、潤のこと外に出してやって？」
黙って頷いた雅紀は
潤を引っ張って連れていく。
潤「だめっ！やめて！翔にぃ…」
泣きながら必死で叫ぶ潤。
どうしてやればいいのか分からずに、
ただ和の手を握って、
泣き叫ぶ潤を見ていた…
ドアが開いて、看護師が顔を出した。
看「大丈夫？すごい叫び声が聞こえたから…」
翔「興奮しちゃって…すみません。
ちょっと休ませたいので、鎮静剤
持って来てもらっていいですか？」
頷いて部屋を出た看護師は
すぐに持って戻って来てくれた。
翔「潤？ちょっと落ち着こうね。大丈夫」
潤「いやだー、ここに居たいー」
鎮静剤を打たれると気が付いた潤は
全身の力を使って暴れる。
翔「この部屋で寝かせてやるから」
もう俺らの声が聞こえないくらいに
取り乱した潤。
俺と雅紀と看護師の3人がかりで
押さえつけた。
潤「だめー、はなしてー」
翔「ちょっとだけ、ちくっとするよ？」
優しく声を掛けて、翔が薬を入れた…
腕の中でもがいていた潤は
しばらくして意識を手放した…
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 653人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：空
| 作成日時：2012年11月25日 13時
