180.【発作】 ページ30
［翔にぃside］
和は数日前から
体調が良くない…
不整脈で、心音もクリアではなく
今日は朝から微熱もある…
発作が起きそうな日が続いていた…
雅「翔にぃ、来て？
もう2回も、もどしてるのに飲みたいって…」
雅紀が戸惑いながら助けを求めてきた。
和が大嫌いな不整脈の薬。
なかなか飲み込めなくて、
いつもなら飲みたくないって拒否するのに…
和は発作が怖くて、今日は薬にすがっている。
でも体が受け付けないから、
もどしてしまうみたいだ…
雅紀と部屋に入ると、
ギュッと目を瞑ってベッドに横たわる和…
「目眩？」
俺がボソッと確認したら、
雅紀が苦笑いして頷く。
和「雅にぃ？…薬ちょうだい？」
「俺…」
和「げ。翔にぃか…」
「翔にぃか…じゃないでしょ？笑
雅紀のこと困らすなよ。
もう飲まなくていいから。」
和「やだ。飲みたい。」
「何度も、もどしてたら脱水になるよ？」
和「だって…飲まなくても…
発作、ならない？」
「ならないように、
ちょっと考えるから。ね？」
和「…ん。分かった。雅にぃ、ごめんね。」
雅「いいよ、いいよ。俺は平気。」
雅紀は和のお腹をポンポンして、
寝かせてやった。
雅「ねぇ、和どうなの？」
雅紀が和のお腹に手を当てたまま
不安そうに俺を見上げる。
翔「正直、ちょっと厳しい…
誰かが傍に居るようにしよう？」
雅「そっか。嫌だな…和が苦しむの見るの…」
雅紀は下を向いて呟いて、
本当に愛おしそうに和の頭をなでた。
俺だって何とかしてやりたいよ…
でも発作を完全に抑えてやることはできない。
それでも何とかしてやりたくて…
目を覚ました和に
点滴で薬を入れることを提案した。
「どうする？頑張れそう？」
和「ん…やる。」
この状態でパニックを起こしてしまえば、
きっと体がもたずに発作も起こす。
俺は何度も和に確認した。
「無理してない？」
和「だいじょうぶ。やりたい…」
「分かった。すぐ終わらすからね。」
俺は智にぃと雅紀にサポートを頼んだ。
智「かず〜、こっち向いてようね。」
雅「はい、手は翔にぃの方ね。」
緊張でガチガチの和だけど、
取り乱さずに頑張れそうだ…
「雅紀、固定おねがい。」
雅紀ががっちり固定したのを確認して
点滴の針を刺す。
一瞬、体が動いた和だけど耐えてくれた。
「えらいね、和。おしまいだよ〜」
しばらく動けずに大粒の涙を流していた和は
俺らが体をさすり続けたら、
やっと力が抜けていった…
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作者名：空
| 作成日時：2012年11月25日 13時
