173.【潤の思い】 ページ23
［智にぃside］
雅紀と和と
昼食の準備をしていたら、
学校から呼び出しの
電話がかかってきた。
和の体調が優れなくて
学校から電話がくることは度々あるけど、
潤は始めてだ…
「潤がね、学校で怪我したみたい。
大きな怪我じゃないみたいだけど、
とりあえず迎えに行ってくるね。
また連絡するから、2人で待ってて？
…喧嘩でもしたのかな。笑」
和は今日は病み上がりで学校を休んでいる。
「心配しなくて大丈夫だから。」
不安そうに見送りにきた和の頭を撫でて、
学校に向かった。
正直、俺も不安だった。
あんなこと言ったけど…潤のことだから
きっと喧嘩ではないだろう。
学校で詳しく話しますって言われた通り、
すぐに応接室に案内され
担任の先生が顔を出した。
担「潤くんが、
素手で廊下のガラスを殴って割りました。
右手を怪我しているので、
今は保健室で応急処置しています。
何度聞いても理由を言わなくて…
家でゆっくり聞いてあげてください…」
「はい、申し訳ありませんでした」
思いもよらなかった先生の話しにびっくりして
俺は頭を下げることしかできなかった。
担任の先生と一緒に保健室に入ると
顔を背けて椅子に座る潤と、
それを困ったように見つめる保健の先生。
保「まだ傷口、見せてくれなくて…
結構深く切れているみたいなので心配です。」
「申し訳ありませんでした。
これから弟の病院に行ってみます。」
俺が近付いたら潤はビクッと反応する。
「潤、立って？」
素直に立ち上がった潤を担任の先生と
保健の先生の前に連れて行く。
「失礼します。
ご迷惑お掛けしました…
申し訳ありませんでした。」
俺が頭を下げた横で
潤も軽くだけど頭を下げた。
目を合わせようとしない潤を引っ張って、
車まで連れて行く。
「ほら、乗って？」
潤を乗せた後、車から少し離れた所から翔に
電話をかけた。
掛けながら、車の中に目をやる。
背もたれに寄りかかって目を瞑った潤は
どこか苦しそうな表情をしている。
翔「昼休み早めにもらって、俺が診るよ。
裏口から連れて来て。」
翔に診てもらえるなら安心だ。
俺は「着いたら連絡するから」と言って、
雅紀にも簡単に電話を入れた後、
急いで車に戻った。
「潤、お待たせ。翔の病院行こうね。
診てくれるって。」
潤「いい。行かなくていい。」
「そんな手のまま帰るの？
和がびっくりするよ？」
俺はあえて卑怯な手をつかった…
潤はそれ以上、何も言わなかった。
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作者名：空
| 作成日時：2012年11月25日 13時
