1605.【5】 ページ5
［雅にぃside］
翔「ちょっと診せてな？」
和「…っ、ん…」
翔「ごめんな…？あーん…」
吸入を始めてから3日。
咽頭炎は少しずつ治ってはきてるけど
飲めない、食べれない状態が続くことでの
体力の低下が進んでいて。
今は嫌々って首を振ることも、ままならない。
時間を決めて、翔にぃが水と重湯を口に運んで
それを何とか飲み込ませてる状態。
経口で全く受け付けなくなると、さらに体力が
低下するからって、それだけは頑張ってもらってて。
嫌なんだろけど、和も分かってはくれているから
泣きながらも頑張ってくれている。
「頑張れてるね、上手だよ〜」
喉が動くのを確認して、もう一口。
翔「卵の味する？」
和「…ん」
翔「そっか。よかった」
辛そうにしながらも小さくだけど首を動かして
反応を示す和。
頑張れた後は智にぃが抱きかかえてあげて
寝るまで安心させてあげてる。
こんなにも弱ってしまうなんて思ってなかった…
やっぱり感染症って怖いね。
ここのところ、涙でキラキラしていることの多い
まつ毛。
そっとティッシュで拭いてやって頭を撫でる。
早く笑った顔が見たいな…
［翔にぃside］
弱ってしまった和は、一度に沢山の水を飲み込めなく
なった。
そうなると一番困るのが薬なわけで。
粉末は水に溶かして、錠剤は砕いてから水に溶かす。
砕いちゃいけない薬を服用中じゃなかったことが
不幸中の幸いかな。
でも…
「ん、苦いんだよな…。でも口から出さないで…
出さないよ？」
スポイトで少量ずつ口に流し込むんだけど
苦いから嫌がって飲み込んでくれない。
まともに口直しもできない状態だから、尚更
嫌なんだろうけど。
目を瞑ったまま、必死になって舌を動かして抵抗
してくるから可哀想なんだけど…
でも、ここで服薬させないわけには、いかないから
俺は厳しさを貫かなきゃね…
「かず…？出さないで。だーめ。」
智「頑張れ、かず。ゴックンってしてごらん？」
智にぃが口元を拭きながら励ますけど、わずかに
首を左右に振って嫌々って意思表示…
「飲まなきゃなくならないよ…？頑張れ…」
和「…っ、ん…」
スポイトをちょっと奥まで押し込んで、それから
薬を出す。
ちょっと苦しいけど、これだと飲まざるおえない。
和「…ん、…っ、おぇっ…」
「ごめんな、かず。もう少しだからな…」
和「…っ、おぇっ…、ん…」
ポロポロ泣いて嫌がってるのに、手を出して払う
体力すらない和が可哀想で仕方ない…
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作者名：空
| 作成日時：2014年10月3日 6時
