1525.【25】リハビリ& ページ25
［潤side］
寝ている時間が
長かった和の体は
筋力が低下しているから、思う様に動かない。
和「…いの、…っこ」
翔「立つところまでは自分でしてごらん？」
和「…ん、いいの…」
翔「良くないの。笑」
情緒が不安定な状態も続いているから、和の
気持ちも受け止めつつリハビリも進める翔にぃ。
今の和にとっては、ベッドの上で座って
向きを変えて…って作業だけでも、かなり負担に
なる。
だから「抱っこ」って訴えてるんだよね…
翔「ほら、おいで？」
頑張って体を動かして起き上がった和の体を
翔にぃが抱き上げる。
それなのに和はポロポロ泣き出してしまう。
和「…っと、早くに、して、欲しかった…」
翔「ん、ごめん。でもさ、かず。少しでも
体動かさないとなんだよ？」
和「…い、の。いいの…、やって欲し…」
翔「抱っこはいくらでも、してやるから。な？」
和「んっ…んーん、…っ…」
しばらくは上手く気持ちを切り替えられなくて
グズグズ…
抱かれたまま眠る和は幸せそうだけど
弱ってしまって、俺からしたら和じゃない
みたいに思えてしまって…
いつの間にか頬を涙が流れていた。
智「大丈夫だよ、じゅん。沢山、甘えて
安心出来たら、和の心も前向きになるから。」
智にぃが優しく涙を拭ってくれる。
そのフニャッとした柔らかい笑顔に、何度
助けられたか…
俺は、智にぃの心の変化に気が付けなかった。
［智にぃside］
和「…らない、いらない、…っこ」
「ん、分かった。おいで」
ご飯の時間になっても、情緒が不安定な時は
ご飯よりも温もりが欲しくて食べてくれない。
だから、ベッドサイドに座って和のことを
抱いてやる。
歩いていないせいで浮腫んだ足が可哀想で…
でも、そっとさすれば「んふふ…」って笑って
顔を押し付けてくる愛おしい存在。
和に限らず、俺にとって兄弟はほんとに
大切でかけがえのない存在。
今回の和の事があってから、俺は誰かを失うのが
恐くて恐くて仕方なくなった…
雅紀が仕事に行っている間も落ち着けない。
職場で何かあるんじゃないか、帰り道で
事故にあったら…？
そんなことが気になって心配で堪らない。
潤が学校に行っている間も同じ様に、心配で
堪らなくなって、メールを送ってみては
「もう帰るよ」って返信で落ち着く毎日。
和に至っては、熱が少し上がるだけで心臓が
ドキドキしてきてしまって。
でも、俺がしっかりしないと…
そのせいで兄弟がバラバラになるのは
嫌だから。
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作者名：空
| 作成日時：2014年8月7日 12時
