1523.【23】 ページ23
［智にぃside］
いつもの病室に
移動した和は、体のあちこちを痛がって
不調を訴える。
和「…っ、ん…、…っ…」
翔「かず？嫌なの？なくなったら違和感
なくなるよ？」
和「…んっ、ん…、ば、か…」
翔「…なーに。笑」
カテーテルと温度プローブ抜こうとしたら
泣いて抵抗してくる。
だけど、動いて拒否するだけの力がないから
翔が強行突破で抜いてしまう。笑
和「…っん、んっ…や…」
翔「もう、気持ち悪いとこおしまい」
和「ん…っ、ん…」
翔「ん、嫌だったのね…笑」
嫌がってるけど「じゃあ、やめましょう」って
訳にもいかないからね。
翔「こんど、こっちね。力抜いてるんだよ？」
和「…ん、んっ…んぅ…」
翔「そんな力いれないの…かず？」
和「…んっ、…うっ…、…や」
翔「大丈夫。おしまい」
解放されれば一番に「ギュッて」って
目で訴えてくる。
今は一人では起き上がる力もないから…
「よいしょ…、おいで。」
起き上がらせればピタッとくっ付いてきて
甘えん坊さんモードだから、今はそれに
寄り添うって決めてるんだ。
和「…いれ」
「ん？いってみる？」
和「ん…」
翔「まだ車椅子にしとこっか。少しずつで
良いから。な？」
和は車椅子を見つめた後、プイッと顔を背ける。
翔「車椅子嫌なの？歩きたい？」
和「…んーん」
翔「ん？じゃあ、トイレは？」
和「…っこ」
小さな小さな声だけど、確かに「抱っこ」って
言葉を口にした和。
俺も翔も顔を見合わせてしまうくらいビックリ
したけど、これも不安からくるものなのかなぁ…
って思って触れるのをやめた。
「いいよ、よいしょ…」
くっ付いていた和をそのまま抱き上げる。
あまり背中に力を加えると床擦れで痛がるから
手を添える程度。
翔が点滴スタンドを押してくれてトイレまで。
尿道カテーテルが入っていたせいで、少し
痛かったみたいだけど、無事に排泄できて
一安心。
翔「ご飯も少しずつな？はじめは流動食だけど
文句言うなよ？笑」
和「…ふふ」
いたずらっぽく笑う和は何とも可愛くて
「文句言わないわけないじゃん」って
言っているみたいだ。笑
翔「だんだん見た目も良くなっていくから。」
翔の言葉通り、和の朝食は重湯。
和は口を尖らせて「俺、赤ちゃんじゃ
ないもん…」って膨れて、スプーンに見向きも
しない。
翔「重湯は赤ちゃんの食べ物じゃありません。笑
ほら、久しぶりのご飯だろ？」
俺らに囲まれて拗ねる和は、最高に愛おしい…
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作者名：空
| 作成日時：2014年8月7日 12時
