1432.【2】 ページ32
［和side］
ドキドキドキドキ…
どうしても胸の苦しさがなくならない。
「ごめん、ちょっと早いけど帰るわ…」
友「どした？」
「いや…」
友「潤のとこだろ？笑」
「まぁ…笑」
やっぱ長く一緒に居るこいつらにはバレてたか…
「ほんと仲良いよな〜」なんて、からかわれつつ
「また明日！」って別れる。
いつも潤が放課後に行くグラウンドは
自転車で行ける距離だから、さとにぃに「潤と
帰るから」ってメールを送って自転車をこぐ。
グラウンドには元気に走り回る潤がいて…
河原に自転車を停めて、グラウンドの傍まで
歩く。
距離が縮まる度にドクン…と胸が苦しくなる
感覚…
何なんだろう…
不安になって潤から目を離せない俺。
チ「じゅーん！いけー！！」
そんな俺の気持ちとは反対に、潤は元気に
走ってゴール付近まで走っていく。
チ「あ、和！！」
チームメイトの数人が気が付いて
俺に向かって軽く手を上げる。
チ「いけー！！」
大きな声が聞こえて、ふと潤に視線を戻せば
シュートする一歩手前で…
「いけっ…」
思わず声が出る。
でも、その瞬間に吹いた強風。
砂埃が舞って、潤がギュッと目を閉じて
顔を覆った。
『せっかくのチャンスなのに…』
風のバカ…
そんなふうに思う俺は、かなりのブラコン。笑
だけど、この後に俺はもっと風を
恨むことになる…
［チームメイトside］
強風の後に、ものすごい突風…
ゴール下で顔を覆った潤の上に、ゴールが
倒れてきた。
叫んだけど間に合うはずもなく、一瞬の出来事。
潤の後頭部にゴールのフチが激突して…
体が地面に打ち付けられた。
チ「潤！！」
和「…っ、じゅん！！」
チームメイトと和が駆け寄っていく。
潤「…いじょ、ぶ…」
和や俺らの問いに、潤が弱々しく応える。
チ「せーの！！」
潤の足が挟まってしまっていたから、ゴールを
どけて。
潤「…めん、もう、へいき」
見た目の怪我はないけど、あの衝撃で無傷って
ことはないだろうから。
和が家に連絡したらしく、車ですぐに
迎えにきてくれた。
智「みんな、ありがとね〜。
ビックリさせちゃったね、ごめんね。」
そう言って笑う潤のお兄さんは、とっても
優しくて。
「病院に行って、それから連絡させるね」って
潤の肩を支えながら車に向かって歩いていった。
足が痛むのか、お兄さんと和に両側から
支えられて、やっと歩いている潤の後ろ姿を見て
心配になる。
怪我しても、いつもだったら強がって
みせるのに…
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 660人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：空
| 作成日時：2014年6月15日 16時
