1063.【3】 ページ13
［翔にぃside］
整「骨折してますね…」
やっぱり…
左手首の骨折。
可哀想に…しばらく不自由だろうな。
涙の痕を残して眠っている潤の頭を
思わずクシャクシャっと撫でた。
ギプスしてもらって、他の箇所も丁寧に診察
してもらってから和がいる診察室に戻ってきた。
和「…じゅん、ごめん、ね…？」
和は「潤は俺のこと庇ってくれて、蹴られたり
殴られたりしたんだ…」ってポロポロ泣いて
訴えてくる。
智にぃはそんな和を抱きしめて「悪いのは
和でも潤でもない。あの人達なんだよ？」って
優しく宥める。
「和も少し診せてね？」
和「…んーん」
落ち着いてきたタイミングで声を掛けた
つもりだったんだけど、拒否された。
まぁ、これだけ時間が経って何も体に変化が
ないってことは、頭を打ったことでの問題は
なさそうだから安心なんだけど。
だからって何も診察しないわけにも
いかないでしょ。
「智にぃに綺麗に拭いてもらったんでしょ？
ちょっとだけ、診せて？」
和「…んーん、…いの、…いい、の。」
智にぃの腕の中に大人しくおさまってたのに
途端に抜け出して後ずさる…
智「んー？どうしたの…？」
和「…だ、やだ…」
智にぃが捕まえて、もう1回腕の中に
戻してくれたけど、完全に拒否モード…
「かーず…大丈夫だから。な？」
和「…なして、…だ、やだ…」
「触らないで」ってのばしてくる手を
智にぃに抑えてもらって髪の毛をかき上げる。
打撲で腫れているのと、少し切れてるみたい…
和「…だ、何にも、しないで…」
診てるだけなのに、あまりにも泣いてバタバタ
抵抗してくるから、智にぃと相談して
一旦落ち着かせてやることにした。
保冷剤を当ててやりながら胸元をさする…
心臓が速すぎるくらいドキドキしてて
可哀想になる。
和「…え、かえり、たい。…ゅん、と。」
「ん。潤が起きたら帰ろうな。」
和「いたくない、から。…う、いいでしょ？」
智「ん、待って…？」
起き上がろうとする和を智にぃが抱え直す。
「かず？消毒してガーゼだけさせて？」
和「…や」
「恐くないよ？痛いのもないから。な？」
和「んーん…」
どうせ嫌がって泣くんだったら、潤が起きる
前の方がいい。
そう思った俺らは処置だけしてしまうことに。
「ごめんな、ちょっと我慢。」
和「…っ、や、だ…、や〜」
智「大丈夫、だいじょうぶ…かず？」
和「や…や〜」
恐い思いしたショックとごっちゃになった和は
終始泣いていた…
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作者名：空
| 作成日時：2013年11月16日 0時
