1061.【巻き込まれた双子】 ページ11
［潤side］
川沿いの道を通って
和と下校途中、寄り道して橋の下を通ったら
男の人達の声が聞こえてきて。
男の人達は喧嘩してるみたいで
「約束だろ！」とか「警察に突き出すぞ」とか
言いながら殴り合ってる。
早足で通り過ぎようとしたんだけど
「見てんじゃねーよ！」って和が鞄を
引っ張られて。
完全に八つ当たりっていうか…関係ないのに…
大学生くらいかな…
体も大きくて服装も派手なその人達は
俺らのことを睨んでくる。
一人の男が鞄を取り上げて、俯いてる和の頭を
それで思い切り叩いたんだ…
和の体は一瞬でグラッと傾いてゴツンって
頭を打つ音。
「関係ないのに、やめて下さい！」
叫んだ俺に舌打ちした男がタバコを持って
近付いてきて…
「…！」
ズボンの上から太ももに、押し付けられた
タバコ。
あまりの痛さと恐怖に声も出なかった…
和「…！…ゅん、は、ダメ…！」
和が庇ってくれようとしたけど「うるせーな！
くそガキ！」って押し返されて。
「ダメ！触らないで！和には触るな！」
俺は必死になるあまり、歳上の人に
生意気な口を効いてしまったんだ…
男たちが黙っているわけがなくて
蹴られて殴られて踏まれて。
息ができなくなるまで暴力を振るわれた。
俺ら何もしてないのに…
意識を手放してラクになろうと思ったら
「じゅん…？じゅん…」って和の声がして。
こいつを置いて意識を手放したら駄目だなって
思って目を開けた…
和「…めん、ごめんね、じゅん…」
「…ずの、せい、じゃない…。おれが、
よりみち、しようって、いったんだ、から…」
和「ごめんね…、にぃに電話…たから…」
和は「どこ痛い？」って俺の心配ばっかり。
和だって額から血が出てるのに、そんなことに
気が付いてないみたい…
少し離れた所では「さっさと持ってこい！」
「死にてーのか？」って、喧嘩の続き。
怒鳴り合って、殴り合いの喧嘩が続いていて。
ガタガタと体が震え出す…
痛くて恐くて、どうしようもなくて。
和「じゅん？じゅーん…？」
だけど和が体をさすってくれる。
俺の名前を何度も呼びながら「智にぃ来るまで
頑張って」って。
「大丈夫だから」って笑う顔を見ると
「お兄ちゃん」に見えて。笑
「いつもは弟にしか見えないのに。」
そう言ったらコツンと頭を小突かれた。
そんなことをしながら、智にぃが
助けに来てくれるまで何とか意識を保った…
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作者名：空
| 作成日時：2013年11月16日 0時
