1051.【潤の憧れ】 ページ1
［翔にぃside］
「あれ…ない…」
自宅用の医療セットに
点滴の針を追加しようとしたら
針が一式ないことに気が付いた。
使ったのは一昨日。
和の部屋で出して、しまったはず…
医療セットは自宅医療の為に、持ち出しを
許可されてるから、管理には気を付けてた
つもりだったんだけど…
もし和の部屋に置きっ放しだとなると
見つけた和が恐がる可能性もあるしね。
俺は智にぃに電話して、部屋を確認して
もらった。
智「ん〜、やっぱり見当たらないよ？」
「俺、しまってた？」
智「んふふ…、ごめん、そこまでは確認
してないなぁ〜。笑」
「はは！だよね。」
そんな会話をして電話を切る。
とりあえず、何かあってからじゃ遅いから
紛失届を提出して帰ってきた。
家のどこかにあるはずなんだけどな…
そう思いながら。
和潤「おかえり〜」
智「おかえり、お疲れさま〜」
雅「おかーえりっ！」
モヤモヤした心も家族の存在でパッと
明るくなる。
着替えながら部屋を確認したけど
どこにもない…
でも、医療セットを持って、どこかに
寄り道したりもしてないし。
考えられるのは家か職場か…
着替えてリビングに戻って「ねぇ、どっかで
俺の医療セット見なかったぁ？」って
誰にでもなく声を掛けてみる。
中身は何かはあえて言わないけど。
智「あれ〜？まだないの？」
雅「知らない〜」
和「え〜、なくしたの〜？笑」
それぞれがそれぞれに反応する。笑
そんな中、1人だけ声を発しない奴を発見。
「ねぇ〜、潤も知らな〜い？」
別に怪しんだわけでもなく、声を掛けて
みたんだけど、ビクッと肩を震わせた潤。
でも、もちろん誰も潤のことは疑ってない。
俺も「ん？」って思った程度なんだけど…
だって潤が医療セットを持ち出す理由なんて
ないでしょ？
それに大事な物って事は分かってるわけだし。
仕方ない…
また明日、病院を探してみるか。
智「ほら、座って〜？」
みんなでワチャワチャと夕食。
食べ終わって風呂前に診察して。
「あ〜、採血しときたかったな…
1セット借りてくりゃ良かった〜…」
和「ふふ。らっき〜！」
智「こら、和？ラッキーじゃないでしょ？笑」
和「はーい…笑」
無邪気に笑う和は可愛い。笑
こいつにとっては、ほんとにラッキー
だろうな。
「お風呂いいよ。明日、採血な？」
和「ん、はーい…」
ちょっとシュンとしたけど「じゅんー」って
駆けていく和。
一瞬でも「隠したのか？」と疑った自分が
恥ずかしい…笑
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作者名：空
| 作成日時：2013年11月16日 0時
