1037.【37】手術拒否 ページ37
［雅にぃside］
和の腫瘍は放射線治療と
薬のお蔭で
だいぶ小さくなった。
手術で大事な神経を傷付けて、後遺症を
残す可能性も減った。
脳「よく頑張ったね」
和「うん！」
翔「…。はい。だろ？」
和「ふふ。はい！」
これからしばらくは体力をつけることが優先。
副作用で落ちてしまった体力を戻してやらないと
長い手術に耐えることができないから。
話の内容がちょっと複雑になり、退屈に
なったのか、雑談を始めた和と潤。笑
横目で見ながら、俺は先生の話に耳を傾ける。
ちょっとでも理解しておきたい。
そんな気持ちで…
脳「2週間後。どう？」
翔「はい…」
脳「クリスマスは元気に過ごせる
ようにしてあげたいからね。これより
先延ばしだと、危ういだろ？」
翔「…そうですね」
手術の話になり、緊張感に包まれる部屋…
ふと、静かにしている和に目をやったら
智にぃに抱きしめられてカタカタ震えてて。
手で両耳を塞いでる…
心配して見つめる俺と潤に、智にぃは
コクンと頷いてみせる。
「だいじょーぶ」
そんな声が聞こえてきそうだ…
翔「疲れちゃったみたいだから、ちょっとだけ
寝かせてやろう？」
智にぃの腕の中でそのまま眠ってしまった和に
翔にぃが少しだけ薬を入れる。
また説得の日々かなぁ…
「嫌だ」って和の気持ちも分かるけど
代わってやることが出来ない限り、
頑張ってもらうしかなくて。
頑張って欲しくて…
それは俺ら4人の共通の気持ち。
でも、この気持ちが強ければ強い程、
和は一人で追い詰められる。
何か良い方法はないものかと…
俺らは眠っている和を囲んで話し合った。
開頭手術は初めての経験だし、
場所が場所だけに恐怖心も強いだろう…
潤が「俺だってやりたくない…」って俯いて。
確かに、その通りだと思う。
俺も嫌だよ、そんなの。
そう考えたら「和はさ、やっぱり強いよね…」
って結論に辿り着いて。
だって手術の為にクリクリ坊主に
してるんだから。
少なからず覚悟があるってことでしょ？
それで十分だと思う。
後は、和の気持ちがしっかりと前を向いて、
手術を受けることのメリットを
理解することが重要だって話しで。
受け入れられるまで、根気強く向き合って
安心させてやろうってことになった。
まずはモリモリ食べて元気な体を
取り戻してもらうことから始めようねって。
好きなもの沢山買ってきてやろうっと。
そんで、みんなでワイワイ食べるんだ。
大丈夫…。
安心できる環境作るね…
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作者名：空
| 作成日時：2013年11月10日 23時
