1022.【22】 ページ22
［翔にぃside］
こういう職業を
しているから、さっきの様な
出来事は珍しくない。
ただ、それが弟となるとやっぱり接し方に
困る部分は出てくる。
高校生になって反抗心も羞恥心も出てきて。
いくら主治医っていっても、和にとって
やっぱり俺はお兄ちゃんだから。
オムツで過ごした時期もあったけど
智にぃにしか替えさせなかったしね。
だから今回も任せてみることにした。
連絡があって病室に戻ると
顔を背けてベッドに寝転んでいて…
智にぃは俺と目を合わせて小さく首を振った。
悔しいし、ショックな部分が大きいのかなって
思う。
でも話さなきゃ解決しない問題だから。
「かず？転んだ時、どっか打った？」
和「…んーん」
答えないかなって思ってたから、ちょっと安心。
「ちょっと話したいんだけど、いい？」
和「…ふたり、なら、いい。」
「ん、じゃあ、外で待っててもらおうな」
2人きりになった病室。
和は「おれ、一人で何もできない…」って
泣き出した。
「そんなことないだろ？潤だって助けられてる。
手とか足が不自由だと、何の役にも立てない
のか？違うだろ？」
和「…って、だって…」
「ん？」
和「おれ、赤ちゃん、みた、い…」
和は、これから俺が「オムツを履かなきゃ
いけない」って話をすることを早くも察してる。
それに加えて、お漏らしをしたことが
悔しくてショックで…
思考回路がしっかりしている分、感じる羞恥心は
半端なものじゃないと思う。
でも、だからってそれが赤ちゃんと一緒だなんて
思って欲しくない。
恥ずかしいことだと感じて欲しくない。
「かず？そんな隅っこで泣かないで。」
顔を隠してベッドの隅っこで泣く和の肩を
叩いて「おいで？」って両手を広げる。
和「…イレ、くらい自分で、いきたい…」
「うん、わかるよ…和の気持ちは分かるよ。」
腕の中で肩を震わせて大泣きする和を
受けとめて宥める。
「間に合わないんだったら、次から早めに
行動すればいい。な？」
和「…も、でもっ、間に合わな、かった、ら？」
「心配ならオムツ履いておけばいい。」
俺は背中をトントンしながら落ち着かせて
「ご飯を食べれない時はチューブを入れる」
「水分摂れない時は点滴する」
「漏らすのが心配ならオムツを履く」
「どれも当たり前のことだろ？特別な
ことじゃない。な？」って例を上げた。
だって、その為の医療だもん。
その為の看護だもん。
和は恥ずかしがったり、悔しがらなくていい…
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作者名：空
| 作成日時：2013年11月10日 23時
