1017.【17】潤の視力低下 ページ17
［雅にぃside」
点滴を右腕にすることに
なったらしい和。
翔にぃから「なるべく俺らで
フォローしたいから」ってヘルプの
要請がきて、潤を連れて朝から病院にきた。
ほんとは潤のフットサルが終わってからの
予定だったんだけど「心配だから行く」って
きかなくて。
でも連れてきたことを後悔するくらい
病室はすごい状況になった。
最初は「触んな！」「やめろ！」って
ギャーギャー騒いでるだけだったんだけど。
だんだん呼吸が怪しくなってきて…
翔「ごめん、ごめん…これだけな。」
全力で抵抗してきて、泣き叫んでるから
狙いが定まらなくて手こずって…
そのうちにパニックに陥って
自分の左手に噛み付いて。
悪循環…
翔「ほんと、ごめん。でも、ここでやめても
薬も入れられなくて辛いだけだから
抑えててくれる？」
結局、ポロポロ泣く潤の力も借りて
点滴の針を刺して、鎮静剤を入れて
落ち着かされた和。
目に活気はゼロで、何もないところを
ただボーッと見つめてる。
そんな状態なのにヒックヒックと苦しそうに
胸を動かすから辛そうで…
翔「ごめん、嫌だったな…
もう、おしまい。少しゆっくりしような…」
翔にぃが優しく胸元を撫でて落ち着かせる。
翔「そっちはどう？少しは落ち着いた？」
智「…ん。大丈夫だよねぇ。」
潤「…ん、ん。」
智にぃの腕に包まれてる潤は
必死になってコクコクと頷く。
和のあまりにも可哀想な状況を見て
過呼吸を起こしてしまったんだ…
翔「ごめんな、潤。もう大丈夫だから」
潤「…ん」
潤は頷きながらも和の痛々しい左手から
目を離さない。
どれだけの力で噛んだんだろうってくらい
くっきりと歯型がついて変色してる。
翔「大丈夫だよ、消えるから。な？」
潤の視線の先に気が付いた翔にぃは
ホットタオルで優しく腕を包む。
智「少し休もうね。ほら、ここに寝転んで？」
智にぃは潤を支えて寝かせてくれた。
いつかの様に、眠りながら涙を流す末っ子を
ただただ見ていることしか出来ない俺ら。
でも言い換えれば、支えてやれるのは
俺らだけだから。
「可哀想って思わなくていいよね？」
「みんなで頑張ってるんだもん。
ね、いいんだよね？」
俺の言葉に智にぃも翔にぃも優しく笑って
頷いてくれて…
双子の傍に寄り添った。
だけど、潤の精神的なダメージは俺が
思っている以上で…
それに気が付いたのは目を覚ました潤が
「みんなが見えない…」って
泣き出した時だった。
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作者名：空
| 作成日時：2013年11月10日 23時
