968.【4】雅にぃの怪我 ページ18
［智にぃside］
落ち着いた和に
冷たいタオルを渡して
少しそっとしておく。
だけど、潤が起きてくる時間になっても
一向に起き上がってこなくて…
仕事休みの翔が様子を見にいってくれた。
翔「…休むってさ」
しばらくして部屋から出てきた翔。
「拗ねてる？」
翔「ん、ちょっとね。でも、受け答えも
はっきりしてるし、診察もさせてくれた。」
「そっか。じゃあ、様子みよっか。」
登校前からあんなに泣いたのは初めてだし
疲れちゃったのかもね。
翔とも話して、少しそっとしておくことに。
昼前になって部屋から出てきた和は
リビングにいる俺らに見向きもせず
真っ直ぐにあらしの元に歩いていって
抱き上げてる。
部屋に連れていくつもりらしい。笑
翔「かず、ご飯は？」
翔が「焼きそば作ってやろっか？」って
笑い掛けたらコクンって。
昼食は焼きそばに決定だね。
「一緒に作れば〜？」
和「ん…そうする。」
［雅にぃside］
職場に着いて
携帯を確認。
翔にぃから「今日は学校休みました」って
メールが届いてた。
あんだけ暴れて泣けば、そりゃ体力も
使うし、精神的にも疲れるよね…
そんなこと考えながら、とりあえず返信して
着替えを済ませる。
さっきから左手の中指がズキズキと痛む…
自分に「気のせい」って言い聞かせてたけど
やっぱり怪我してるみたい。
ギュッと握ることが出来ないくらい
痛くなってきちゃった…
どうしよう。
翔にぃに相談したいけど、包帯なんか巻かれたら
和に気がつかれちゃうし。
実は今朝、和の抑制してる時に怪我したんだ。
体を捩ろうとして暴れた和の足が
腕を抑えてた俺の手に思いっきり
ぶつかった…
いつもより手強かったから、何とか力で
抑えようとしたんだけどね。
自宅医療の研修で軽く習った抑制の仕方。
必死になりすぎて、すっかり大事なこと
忘れてたよ…
先生が言ってた「抑制してる本人が怪我したら
意味ないですからね。笑」って言葉が
頭を過った。
あの時は「そんなことないでしょ〜」って
笑ってたけど。
俺は「そんなこと」をやらかしてしまった。
和が知ったら、きっと責任感じるだろう。
そう思って痛む手を必死で隠した。
職場では車の運転もしなくちゃいけないし、
重いものも持たなきゃいけない。
酷使し過ぎた左手の中指は
昼過ぎには、じっと見れば分かるくらい
腫れてきてしまって…
さすがに焦って保冷剤当ててみたけど。
こんなの気休め程度にしかならないよね…
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作者名：空
| 作成日時：2013年10月23日 6時
