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［翔にぃside］
後部座席で
雅紀に抱かれて
浅い呼吸を繰り返してる和。
嫌な呼吸音が響く…
雅「かず、もう少しだからね…
大丈夫だからね、ゆっくりね。」
雅紀は終始、優しく声を掛け続けてくれて
和もそれに応えようと、たまに目を開けて
雅紀を見つめてる。
辛い状況のはずなのに、2人のいる空間は
何だか温かくて、優しさに包まれてる…
雅「ほら、背中にのせてやるから。」
車から降りるときに和を背負ってくれて、
スタスタ歩く雅紀は頼もしい。
和「…ょう、い、ん、や…」
雅「そんなこと言ったって。笑
苦しいの嫌でしょ？」
嫌々って首を振る和を宥めて、ベッドに
寝せてくれて。
今日はとことん、良い兄貴だ。笑
俺だけじゃ不安だから、救急にいた
消化器内科の先生にも来てもらって
聴診してもらう。
雅「ちょっとだけ、じっとしてね…」
和は恐がって嫌がって体を捩ろうと暴れる。
消「最近よく、誤嚥してたんじゃない？
むせ込んだりしてなかった？」
先生の言葉に頷き、最近の様子を説明する。
消「とりあえず、このままではラクに
ならないから。」
先生は看護師に指示を出して
吸引の準備をする。
消「すぐ済むからね。口開けて？」
和「んー…」
ゴロゴロと苦しそうな呼吸をしながらも
和はプイッと顔を背ける。
「かず、少しだけね…嫌なの分かるけど、
頑張るよ？ごめんな。」
和「っん、んー…」
「そうそう。あーん？」
和「んっ…んー」
口に手を入れて開かせる。
知らない医師や看護師にやられるより、
いくらか負担は少ないだろうから。
雅「手は俺が握ってるからね…」
「抑える」って言わないのが雅紀の優しさ。
消「ちょっと苦しいけど我慢してな〜」
先生は優しく声を掛けてから
チューブを入れてくれた。
音を確認しながら何度か繰り返される処置。
和は苦しそうにしながら
ずっとバタバタして泣いてる。
体力は限界のはずなんだけどね…
消「よし、綺麗な音になったね」
すぐにお礼して、雅紀に和を抱き起こして
もらう。
先生と少し話をして、このままカメラを入れて
検査してもらうことにした。
明日になって、また大泣きさせるより
いいかなって俺の判断で…
原因が分からないままで、一番不安なのは
和自身だからね。
なぜ誤嚥してしまうのか、原因を突き止めれば
家にも帰れるから。
潤が待ってるから
もうちょっとだけ頑張ろうな…
雅紀に抱かれて少し落ち着いてきた和の背中を
そっとさすった。
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作者名：空
| 作成日時：2013年9月6日 7時
