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［雅にぃside］
今日はバイトが
休みだから、
俺が和の面会。
病室に入ったら、和はご飯を食べていた。
俺を見て、ニコッて笑うけど…
その顔はとっても寂しそうだ。
「ご飯食べてたんだね。えらいね」
和「…うん。ちゃんと食べて元気になる」
「そうだね。」
こんな小さな体でも…
まだ10歳でも…
きちんと、自分の体の異常を感じて
必死に闘おうとしてる。
自分にできることはやろうって
頑張ってるんだ。
パッと顔を上げたら、
和の向かいのベッドの子がニコッと笑った。
和が入院している大部屋には、小学生が
和の他に5人いて…
もう長いであろう
入院生活を思わせる子もいた。
でもどうか…和がそんなことに
なりませんように。
俺は静かに祈った…
ご飯を完食した和は、ベッドで智にぃが
買ってきてくれたパズルをやって
遊んでいる。
看護師さんが一人やってきて
和の背中の傷の消毒を始めた。
5ミリくらいの大きな穴…
看「昨日の検査の痕ですよ。
背骨から髄液を採取したんです。」
俺が不思議そうに見ていたからか
看護師さんが教えてくれた。
「…痛かった？」
和は恥ずかしいのか小さく頷いただけだった。
俺は昨日、潤を宥めるのに必死で
智にぃとも翔にぃとも
ほとんど会話しなかったんだ…
だから検査で、和が泣いていたなんて
知ることもなく。
まぁ、少し考えれば分かったことかも
しれないけど…
看「じゃあ、今日も一つだけ
頑張ってこようね」
和「…いたいのやだ」
看「昨日も頑張れたでしょ？」
和「…うん」
和は、痛い検査が続いていることで
検査に対して恐怖心を感じ始めていた。
それなのに、俺はそのことに気が付かずに
「頑張れ」って無理矢理に和を検査に
送り出してしまったんだ…
和も「嫌だ」とは言うものの
やらないという選択肢はないと
分かっているのか、渋りながらも
看護師さんが用意した車椅子に乗って
病室を出ていった。
この時、俺らのうち誰か一人でもいいから
和の恐怖心に気が付いて、寄り添って
やれればよかったんだ…
何の検査が行われるのか、詳しく聞いて
和に説明してやればよかったんだ…
「病気」という言葉にとらわれてしまって、
俺らには先の不安ばかりが襲いかかって。
今、この状況と必死で闘っている和に
目を向けてやることができなかった。
それにより、
最大の失敗をしてしまった…
それに俺らが気が付いたのは
検査を終えて帰ってきた和が
目を覚ました時だった…
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作者名：空
| 作成日時：2013年4月5日 8時
