無口少女と精神科医【米森サトル】

大切な ページ9

私達は3階にいたミサキさんと合流し、まずは教室を探索することにした。
机や椅子が乱雑に置かれてあり、ストーブもつけっぱなしの状態で放置されていた。

ミサ「なんやこれ...黒板になんか書いてある...。」

私達は黒板の方を見る。
黒板にはこう書かれてあった。


【羊たちへ。
君たちは本当の自分に気づいているか？】



サ「なんだろう....ここから脱出するためのヒントなのかな...？」

ユ「こっちは....ひどいですね....。」


今度は机の方を見る。
机の上には花瓶が置かれ、ズタズタに引き裂かれ、落書きも大量に書かれてある。

皆がそれを見ている中、私は妙な息苦しさを感じた。
額からは汗が滴り、呼吸も普段より荒くなる。



サ「....？Aちゃん？大丈夫....？いつもより様子が...。」

サトル先生は様子がおかしい私に気付いたのか、
私の頭を撫でて問いかける。

『だい....じょうぶ...。』



そう言って私はサトル先生の元を離れ、その机を調べる。
すると机の中から色紙が出て来た。



『........！？』







その色紙の内容、何故か見た事がある。


なんで？
見た事なんてないはずなのに。


なんで？
こんな記憶、あるわけがない。


なんで？
こんなもの、私は知らない。









いや、違う




『違う.....違う........』





違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う
違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う
違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う
違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う
違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う






『ユウ.....ヤ......』




【ユウヤくんへ
ユウヤくんが死んでしまって、クラス全員とても悲しいです！
今日はユウヤくんが死んだ記念パーティーをしたいと思います
クラス一同より】







私はこの色紙を見た事がある。
私はこれを知っている。
私はこの『ユウヤ』を知っている。







『あ......ああ......ああああ......』




何故.....

私は.......

今まで思い出せなかったのか.....






ユウヤは......

私の......









『あああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああ！！！！！！！！！！！！！』









ユウヤは私の...大切な大切な双子の弟ではないか...。

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