【文スト】純粋かも知れない素敵帽子の恋愛奮闘記【中原中也】【短編集】

♢ ページ36

「お、有難う。中也君」

中也「えへ、そンなお礼なンて、えへへ、別にいいですよえへへへ」

「えへへって嗤い方可愛過ぎだろ手前」


頰を桃色に染め乍ら

手に持っている紅色の箱を開けた

中にはきらきらと輝く

ステンド硝子のような

透明な黄色の

ハート型の小さな飴が詰められていた


中也「林檎味の飴です。手作りなンで味は保証出来ないンですけど…」

「中也君の作る食べ物ってなんでも美味しいからねえ。屹度今回の飴も美味しいよ」


そう云って

ハート型の飴を手に取ろうとすると

中也君に阻止され

中也君に飴を取られてしまった

何故そんな事をするのかと

戸惑っていると

中也君は妖美に

ニヤリと微笑い

飴を口に含んだかと思うと

一気に私との距離を縮めた


中也「更にこの飴を美味しくしてやるよ」


持っている林檎味の飴にちゅっと接唇けて

其れを

戸惑っていて

ぽかんと開いた私の口に放り込んだ

これっ…て

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