＊55＊ ページ20
そういえば、切島どうしてるかな。
まだ店に入ってから注文をしていなかったことに気付いて店員を呼び止める。
「あ、すみません、コーヒーください」
少し年上の、女の店員さん。
なんだろう、意外と、
寂しくは、ない。
切島に電話をしてみよう、なんだろう、
どうなったのかさえ、ちゃんと聞いていないし。
何より、誰かと話したい。
通話ボタンをタップすると、2コールほどで切島は電話に出た
「もしもし？どうした？」
「あ、ごめん、急に電話しちゃって…」
「耳郎？
…あー、えっと、俺、振られちまったわ…」
少し、最後の声が震えている感じがした。
「うん、うちもそんなもんかな…でもちゃんと切島みたいに告白はしてないや
ほんとにうちって意気地なしだなあ…」
最近、切島と話すことが多くて、うちが上鳴のことが好きだと、切島は知っている。
もちろん、報われない恋だろうってことも、なんとなく。
「耳郎さ、もしかして今カフェにいる？」
店内を見渡す、切島はいない。
「横の窓見てみて」
「あ」
切島がいた。
驚きながらも手でちょいちょいと呼ぶと切島は中に入ってきた。
向かいに切島が座る。
「なんかごめん、急にきちゃって。その…耳郎、大丈夫か？」
切島だって振られたのに。
「大丈夫、わかってたからさ、なんとなく」
少し伏し目がちになってしまった。
「失礼します。ご注文のコーヒーです。お砂糖とミルクはこちらに置いておきますね。ごゆっくりどうぞ。」
先程とは違う店員さんがコーヒーを運んできてくれた。
いい匂いがする。
いつもは頼まないけれど。
「その、なんかごめんね？特に用もなく呼び出しちゃって。」
「いいよ全然。俺、なんか1人になりたくなかったからさ。良かった。」
コーヒーを飲む。
熱いし、苦い。
「コーヒーちょっと苦いや」
へへっと笑うと切島も少し笑った。
俺コーヒーなんて全然飲まねえからなあ、俺も苦いの苦手と言って切島はテーブルの上の砂糖とミルクに手を伸ばす。
「無理して苦いの飲まなくてもいいんじゃね？耳郎頑張ったんだし、目一杯甘いコーヒー飲もうぜ！」
くしゃりと笑ってミルクと砂糖をコーヒーに入れてくれた。
「…甘い。」
「だろ？」
おかしそうに笑う切島につられてうちもなんだか楽しくなってきた。
「ありがと、切島。」
何にもしてねえよと言って切島はまた笑った。
──甘さは心に染みわたる──
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキーカラー
あずきいろ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 382人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
sugar(プロフ) - ??さん» 返信遅くなり、すみません。これからもゆっくり更新頑張りますのでよろしくお願いします。 (2018年12月26日 23時) (
レス) id: cc4a36fc78 (このIDを非表示/違反報告)
??(プロフ) - おかえりなさい。っていう感じなんですけど……このあとの続きがすごくすごく気になって……叫んでしまいました。 (2018年12月8日 21時) (レス) id: a9cef415df (このIDを非表示/違反報告)
梅姫美(プロフ) - きゃーーーーおかえりなすわぁーーーい！！ (2018年12月8日 19時) (レス) id: 93ec774767 (このIDを非表示/違反報告)
sugar(プロフ) - 梅姫美さん» こんにちは、更新停止していてすみませんでした。これから更新緩く始めていきますのでよろしくお願いします。 (2018年12月5日 20時) (レス) id: cc4a36fc78 (このIDを非表示/違反報告)
梅姫美(プロフ) - あれ、もしかしてもう書かない感じ？？ショック。(￣◇￣;) (2018年6月26日 8時) (レス) id: 93ec774767 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：sugar | 作成日時：2017年8月23日 23時
