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まるで花火のように弾けたその光がゆっくりと落ちていく。
そして、静かに、森に流れる清流のように、バックスクリーンに降り立った。
 
 
 
「試合の邪魔する悪い子は、私が相手になってあげる」
 
 
 
球場にいた誰しもが彼女の姿に釘付けだった。
月夜にマントをたなびかせるその姿はまさしく、ヒーローだった。


彼女がバケモノと対峙する。

「エンパワーフィールド」

彼女がそう呟くと、バケモノと彼女が透明な箱のようなところに閉じ込められた。

本当にこのバケモノを彼女がなんとかするって言うのか…?この子が…?


「マイクサーベル」

彼女から目が離せないでいると、彼女の手ににゅっと光の棒のようなものが現れる。
彼女がくるっとそれを回転させたかと思うと、大きく息を吸う。


〜♪


次の瞬間、彼女が綺麗な歌声で歌い始めた。
よく見ると、彼女が手にしている、光る棒の先端がマイクのようになっている。

「歌ぁ…?」
「歌ですね…」

俺も壮真も目の前の出来事に啞然とする。

しかし、威嚇態勢だったバケモノがたしかに少しずつ大人しくなっていくのを、俺と壮真の目は捉えていた。

「効いてる…?」
「ぽいですね…」

するとあろうことか、そのバケモノが徐々に小さくなっていく。
球場を埋め尽くすくらいの巨体はどこへやら、気づくと、普通の大型犬くらいの大きさになっていた。


「マジか…」

俺が思わずそう零すと、隣の壮真も息を吞むのが分かった。


「元居た場所におかえり。おやすみなさい。」

その言葉とともに、小さくなったバケモノの頭を彼女が優しく撫でる。
すると、そのバケモノの体が光に包まれ、消えてなくなった。


俺も壮真も今目の前で起こったことが信じられず、呆然とする。

「なんだったんだよ、今の…」
「あーあ、せっかくケルベロスを使役したっていうのに、ムーンローズの前では為す術無し、か…ざーんねん」
「!?」
「秀樹さん危ない…!」

声に振り返るのと、壮真がそう俺を呼ぶのはほぼ同時だった。

次の瞬間。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「っとだいじょーぶ?おにーさん」
「ってうおおお!?えっ高っ!!なに!?」

俺は先ほどの彼女にお姫様抱っこで抱え上がられ、宙に浮いていた。

「ギーク、一般人に手を出すのは反則じゃない?」

彼女が俺を抱えたまま、静かに、怒りの篭った声音でそう告げる。
彼女の視線の先を見やると同じ高さに、見知らぬ男が浮いていた。
 
 
 
 

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作者名:麗華 | 作成日時:2024年2月14日 4時

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