07漆黒の闇に心を堕とす。 ページ7
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君の目が、僕だけをうつせばいい。
君の耳が、僕だけの声を拾えばいい。
君のすべてを、僕で染めたい。
だって、僕のすべては。
君だけで、染まりきってしまっているのに。
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『ちょ‥‥堅治!痛いってば!!』
「っ、悪りぃ」
店から出て数分、とにかくあの店から離れようと歩いて、Aの抗議の声で我に返った。
当の本人は、ブツブツと文句を言いながら掴まれた手首をさすっていた。
『‥‥まぁ、お礼は言っとく。ありがと』
「‥‥お前さぁ、そんな格好で来てたら襲ってくれって言ってるようなもんだろーが」
きょとんとするAの今の格好は、肩むき出しのシャツに短いスカート。
淡いピンクがさらにその可愛らしさを際立たせていた。
「つーか、なんでお前合コンなんか」
『いや、あんたもいたじゃん』
「‥‥俺は騙されたんだよ」
‥‥本当に、どうしてお前はあそこに居たんだよ。
友達の付き合いか?俺みたいに騙されてか?
‥‥それとも、好きなやつでもいたからか。
最後の言葉は、どうしても言えなかった。
吐きかけた言葉を飲み込む。
すると、あいつは俺の気持ちなんて微塵も知らないような顔して。
『んー‥‥友達にイケメン来るよ、って言われたからかなぁ‥‥』
ずきり。心が痛む。胸が軋む。
渡したくない、と心が叫んだ。
『いや〜友達が言うだけあってレベルは高かったよねぇ』
どこにも行くな、と手がピクリと動く。
なにも言うな、とその口を塞ぎたくなる。
『あ、でもやっぱり____』
それ以上は、頼むから。
なにも、言わないでくれ。
これ以上、俺の心を傷つけないでくれ。
頼む、頼むから________。
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『堅治が一番カッコよかったかな』
‥‥は?と口を開く俺に、お前は無邪気に笑った。
『だって、私の中で一番カッコいいのはいつだって』
あんただけだもん。
そう言ったあいつの声と、無邪気な笑顔が。
やけに、俺の心を揺さぶっていた。
【僕は単純だから】
【君の些細な一言で幸せになれるんだ】
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ホノ☆(プロフ) - みぃちゃん,mさん» ありがとうございます!!そう言っていただけてすごく嬉しいです!! (2017年7月31日 21時) (レス) id: b619beff59 (このIDを非表示/違反報告)
みぃちゃん,m - にろにー、本当にカッコイイです!完結おめでとうございます! (2017年7月31日 21時) (レス) id: 04aa308079 (このIDを非表示/違反報告)
ホノ☆(プロフ) - 志織さん» ありがとうございます!!こちらこそ、この作品を読んでいただき本当にありがとうございました!! (2017年7月30日 1時) (レス) id: b619beff59 (このIDを非表示/違反報告)
志織(プロフ) - 凄く素敵な表現で、かっこいい二口堅治をありがとうございます…。執筆お疲れ様でした! (2017年7月30日 0時) (レス) id: f90efcc153 (このIDを非表示/違反報告)
ホノ☆(プロフ) - すずめ@あまてらさん» ありがとう!!精一杯頑張るよ!! (2017年7月28日 18時) (レス) id: b619beff59 (このIDを非表示/違反報告)
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