▽ ページ27
苛々しながらデスクに戻れば、「あー」とシッマが歯痒そうに此方を見た。俺が怒っているのを見て謝ろうとか思ったのだろうか。こいつにそんな心あるだろうか。反語表現だ。
またディスプレイと向かい合う。
ブルーライトを浴びながらピアノを弾くように両手を動かすも、時折また大先生の幻聴と首筋への刺激が来て全く集中できなかった。
何やこれ？呪いか？とまで思考が変な方向に発展してきた。しかもどんどん幻聴が聞こえていくに連れて刺激が激化していくのだ。さっきは後ろから腕を回されて囁かれた。まるでいつもの大先生のようにすり寄って。
俺が余分にバックスペースキーを押しているのを見て、シッマが声を掛けてきた。
「シャオロン」
「何や」
「お前もう今日帰れ」
「は？何でや」
「もう今日のノルマ終わっとんのやろ？ならええやん、働き方改革や」
「でもまだ８時も回ってないで」
「別にええやん」
「シッマは帰らんの？」
「まあ俺はな」
「なら俺も」
「お前ははよ帰れ」
何故か今日は強硬である。
「あ〜〜そんならお前が今日やりたかった仕事の分まで俺がやっといたるからはよ帰れ」
「えっ何で今日そんな利他的なん？」
「そんな事言うてる暇あるんやったらはよ帰る準備せえ」
「お、おん」
言われるがままに用意をしているとシッマが何かぼそり、と呟いた。大きな声でガサツに「デリカシーなんて言葉は俺の辞書に載ったらあかんねん」とか言いそうな彼が小さく何か言うのが珍しくて「ん？」と聞き返したが、「ほいほい入口まで送ったるから」と有耶無耶にされた。
──────。
「あ〜〜〜〜」
誰もいなくなったオフィスで一際大きな溜息────もはや声だが────を出したのはコネシマである。先程まで作業をしていた同期であるシャオロンを追い返し、彼の分の仕事を終電ギリギリで終わらせたところである。
「彼奴は一緒に居すぎて鼻バグったんかなあ」
そんな事を独りごちた。
でもあの反応は、明らかに何かが可笑しかった。
鈍感に見える彼でも、藍色のあの男の目線の先が常に此方に、否、シャオロンに向いている事など嫌でも分かる。分かっていない振りだけをしている。
うーん、と大きく伸びをしてからシャオロンに『聞こえないように呟いた』言葉を反芻する。
「犬は鼻が利くんやからバレてんねんで」
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陰キャがいるから陽キャがいるのだ！！ - ああああのっ…！良かったらsyo×syp書いてくださいませんかかかかかっ…！！？？ (2020年9月7日 19時) (
レス) id: ff8bfdcc9b (このIDを非表示/違反報告)
鮭 - ｼｬｵﾁｬﾝ多い―すこ( *´艸｀) (2020年5月24日 12時) (レス) id: 7cccfd6a08 (このIDを非表示/違反報告)
シトラス - 最初タイトル見て甘々な感じのお話なのかな、と思ったらpiのコールサインがポべートールでタイトルの意味に漸く気が付いて鳥肌が立ちました。瓶入りさんの伏線と知識量がえげつなくてもう本当に好きです、これからも応援してます。 (2020年5月10日 20時) (レス) id: 20245e566b (このIDを非表示/違反報告)
猫缶。(プロフ) - 綺月ナズナさん» ちょっと私の心臓潰れてません？潰れてたわ(事後報告)無理じゃね？？外側スパダリ特定の相手にはデレるshaさんすこすぎてもともと無い語彙が完全に消滅しましたありがとうこざいます。sypさんって絶対体力オバケだよね(何がとは言わない)ありがとうございましたしゅき。 (2020年5月10日 18時) (レス) id: efdd73f72f (このIDを非表示/違反報告)
綺月ナズナ(プロフ) - 猫缶。さん» あｯｯｯｯ存じ上げております私の妄想がお世話になっておりますｯｯｯｯ、そんな風に評価して頂けた事が無いので凄い嬉しいですありがとうございます！ syp×sha了解です、これからもどうぞ御贔屓に。 (2020年4月17日 17時) (レス) id: dc9fff9865 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瓶入りレモネード | 作成日時：2020年2月15日 9時
