【文スト】何故か六つ羽の天使(♀)に生まれ変わったんだが。

二十五話 ページ30

A視点



そう話している内に、船に乗った様だ。

俺はカンテラをポケットにしまい、治療もやめる。



A「さて、守護対象君。此処から僕は姿を消すよ。

大丈夫？君一人でこの状況打開できる？」



俺は、心配そうな声音で敦に尋ねる。だが、答えは決まっているはずだ。



敦「はい！僕は大丈夫です！きっと、芥川を倒して、鏡花ちゃんを助け出します！

……ところでここはどこら辺なんでしょうか？」



A「さぁ？人気のない路地を走るか、はたまた海の上か……見当もつかないね」



全く気にしないような声で言う。



敦「えぇ！？」



A「いや、分かるにはわかるけどさ、君に全部言えば本末転倒だから。

……まぁ、今回は初回だし。ヒントは上げようかな」



カンテラ仕舞ったから真っ暗で、顔が見えない。

いや、俺の視覚では十分に見える暗さだけども。天使になったしな。

……人だった頃は忙しいながらも平和だったのにな



A「此処の近くには鏡花ちゃんと芥川君がいるよ。

もうすぐ君の前に出てくるはずだ。一人は君を助ける為に、一人は君を殺してしまう為に」



敦の方を向くと、真剣に話を聞いている事が分かる。



A「今回のENDは三つ。バッドエンド、トゥルーエンド、ハッピーエンド。

バッドエンドは守護対象君と鏡花ちゃんが死ぬ事。そして、芥川君は無事。


トゥルーエンドは守護対象君が生き延びて、鏡花ちゃんと芥川君はさっきと同じ。


ハッピーエンドは守護対象君と鏡花ちゃんが生き延びて、芥川は君に倒される！

これが後味の良い解決！一番難しくて確率も低いけどね」



暗に、其れをする覚悟はあるのかと聞いているのだ。

人を助け、人を傷つける覚悟があるのかと聞いているのだ。



敦は力強く頷いて、はい！と云った。

……凄いな。人の頃の俺なら、こんな返答は出来なかっただろう。

矢張り、物語の主人公は違う。何もかもが。



少し話はそれるが、俺は、こいつらを人が作り出したキャラクターとしか見れない。

そして、今の身体も受け入れきれてない。時々、今でも思う。

『これはただの悪い夢で、俺の身体は寝ているだけではないのか？』と。

痛みも何もかもリアルなのはわかっている。でも、やはり、思うのだ。



唯の人に戻りたい。友と馬鹿をやる、何の変哲もない平穏を取り戻したい。

そう、思うのだ。4



なんかシリアスになったな……原作通りなら、そろそろか。

そう思った時、ちょうど扉が開いた。

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