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毛玉の出来ているカーディガンは見た目的に良くないので、それは脱いでワンピース丈のセーターに着替える。下はデニムのパンツのままだが、ワンピースのおかげで太ももはそれほど冷たく感じないだろう。
ストールはこのまま巻いて行くことにする。コートのように風を通さないわけではないが、幾分かましだろう。
窓を開け、テラスに出て息を吐くと、やはり部屋よりも外気は冷たく視界は白く霞んで見えた。
─────
シリングスの町に舞い戻り、取りあえず勤め先のパン屋に顔を出す。
「おや、Aじゃないか。どうしたんや、忘れもんかい？」
レジにいたロボロ母＿ルドさんが笑顔を向けてくる。
「いえ、そうじゃなくて……。昼間、話していた噂を教えてほしくて」
「あれ、ええんかい？婚約者のいる身で他の男に余所見なんて」
楽しそうに言うルドに曖昧に笑って誤魔化す。
忘れていたが、Aとグルッペンは婚約しているということになっていたのだ。関係を説明するのも面倒臭かったので敢えて否定しなかったのだが、噂が落ち着いてみればすっかり町の人間に二人の関係を認められていた。
だが、先ほどのグルッペンとのやりとりを思い出し、ムカムカと怒りが沸き起こる。
つい語調を強くして言ってしまった。
「いいんです！」
ハッと慌てて口元を押さえると、ルドが目を大きく見開く。そして心配げに声を落とす。
「喧嘩でもしたのかい？でも、自棄は起こしちゃあかんで。あとで後悔することになるからね」
「あ、違うんです」
慌てて両手を振って否定する。だがルドは深々と溜息をつく。
「原因は何であれ、婚約者はあんた一筋っていうやないか。噂の男のように手当たり次第っていう悪い男じゃないんやから許してやることも必要だよ」
「あの、違う……」
Aの言葉に耳を貸そうとしない雇い主に、徐々に否定も尻すぼみになる。
「これから長い年月一緒にいるんだから、ここはあんたが一つ大人になってだね、譲ってやればええよ」
「──はい……」
完全に押し切られた形になり、仕方なくルドに頷き返す。どうやら素直に忠言を聞き入れたAを見て、それ以上言う必要はないと思ったのだおろう。途端、目をきらめかせて詰め寄ってくる。
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ヒイラギ - やばい､､､最初から最後まで一気に見てしまった､､､神作品すぎます！ (5月20日 21時) (
レス) @page25 id: 04238311ec (このIDを非表示/違反報告)
夢喰(プロフ) - めっちゃ好きです！更新頑張ってください！！ (2022年6月12日 11時) (レス) @page19 id: 5ee2b54502 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナツメ | 作成日時：2022年5月12日 17時
