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そして現在に至るのだが──
食事の後、さっさと部屋に引き上げようとしたAを捕まえ、トントンに声をかけたグルッペンは、Aを半ば引きずるように居間へと連れてきた。
すぐにトントンはコーヒーの準備をして現れ、テーブルの上にそれぞれのカップを置くと、二人の向かいに余裕の笑みを浮かべて腰かけている。
グルッペンは半ば目を閉じて、それでもしっかりとAの手首をつかんでいるところが侮れない。
トントンのことは任せたと言ったのに、と諦めの心境でソファに座っていた。
だが、早二時間が立つ。そろそろ話し合いを始めてほしい頃合いだと思っていると、おもむろにグルッペンが目を開けた。
「契約を破棄してもいい。だが、おまえが約束を守るという保証はない」
「……そこは信用していただかんと」
「悪魔の言う信用という言葉ほど信用ならないことぐらいおまえだって知っているだろう」
「おん。口先でならいくらでも言えることやからね」
子供の姿で、冷ややかに笑うトントンを見ると、背筋が凍りつきそうになる。
オスマンがトントンに注意するよう言っていた理由が分かった気がした。これのどこが人間っぽいものか。これほど悪魔らしい悪魔はいないのではないだろうか。
思わずグルッペンの方に身を寄せると、手首を解放され、肩を引き寄せられる。当然、身体は密着する。
ちらりと隣を見上げると、いつもよりも冷酷な表情を浮かべたグルッペンに怖いと思うと同時に、半端ではない吸引力をもって目が離せなくなる。
凄みを増した美しさに、意識を総動員して視線を引っぺがすことに成功すると、落ち着かない気分のままトントンへと目を向けた。
トントンは唇の端にうっすらとした笑みを浮かべると、淡々と告げた。
「別に俺はあんたのことなど恨んでなんていないで。大体、この契約は正当な賭けの結果に過ぎないんやし？」
余裕の態度のトントンは、見た目が少年だが中身は違う。
「でも、悪魔は本当のことを言わないと言ったのはトントンよ」
思わず口を挟むと、赤い瞳がこちらを見つめる。
そして、良く出来ましたとでも言うかのように手を叩いた。
「よく覚えとったな。俺、あんたのことは嫌いじゃなかったで」
だからといって好きでもなかったということなのだろう。
あの屈託ない笑顔がすべて偽りだったのだろうか。Aは肩を強くつかまれたこともあり、それ以上は口を挟む気にもなれなかった。
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ヒイラギ - やばい､､､最初から最後まで一気に見てしまった､､､神作品すぎます！ (5月20日 21時) (
レス) @page25 id: 04238311ec (このIDを非表示/違反報告)
夢喰(プロフ) - めっちゃ好きです！更新頑張ってください！！ (2022年6月12日 11時) (レス) @page19 id: 5ee2b54502 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナツメ | 作成日時：2022年5月12日 17時
