俺らの大好きなあの人は、自重を知らない。 さんっ！【ヒプノシスマイク】 《兄》

-これが現代の“老害”か、実に不愉快だ。と俺は、聞こえるように言った- ページ44

つーかこいつ、俺の足踏んでる方の足に体重かけてるんだけど？


貴)あの、何か御用でしょうか？


男)まだ退かんのか、このガキ！！
若いもんは立っとれ！


再度問いかけると、老人は口を開き、そう怒鳴った。
病院なんだけど？ 静かにしてくれる？？
あぁ、他の患者さんが迷惑そうにこっちを見てるじゃん。
隣のおばあちゃんなんて俺が杖使ってたの見てたから、自分が席譲ろうとしてるし、座ってて！


貴)分かりましたから、足をどけてください。


怒鳴るほど元気なら、何で病院に来るのか分からないが、無駄に痛くなった足を動かして杖を突くと立ち上がる。
俺が退いたその席に老人はどっかりと座る。


男)ったく、最近の若いのはすぐ自分が楽しようとしおって。
普通は若いもんが立って、俺の様な弱いもんに席を譲るのが常識ってもんだ。
そんな事も知らんようなら病院に来るんじゃない。


ぐちぐちと文句を言いだした。
勿論場の空気は最悪。 前の席にいた赤ちゃんが老人の声に驚いて愚図ってしまう。


男)母親の癖にその五月蠅い赤ん坊を黙らす事も出来んのか！
そんな奴は母親になる資格などないわ！！


貴)ハァ…;;;


俺は思わずため息をついた。
前の席の母親と思しき人物は泣きそうになっている。


一二三)ちょっとヤバめな人だねぇ…。


独歩)…関わると、碌な事がなさそうだな。


俺はそっと愚図っている赤ちゃんと母親の前にしゃがんだ。


貴)お母さん、後ろの老害は気にしないで赤ちゃんに集中して。
一定のリズムでそっとゆすってあげながら、撫でてあげて。
ゆっくりでいいから、赤ちゃんは泣くのが仕事だし仕方ないよ、落ち着いて。


母親は俺の指示に従って、赤ちゃんをあやした。
赤ちゃんはそれに安心したのか、静かになり、そして眠ってしまった。
いやー、二郎や三郎が小さい頃にあやしてた俺の方法他の子に通用するなんて、弟達すごいわ…可愛い。


母親は俺にお礼を言って、俺は『良いよ良いよw』なんて手を振って、一二三達の所へ戻った。
老人はそれでもぐちぐち言っているが、母親はもうまったく気にしていないようだ。
自分が何を優先すべきか、気を強く持ったに違いない。


一二三)手慣れてたねーw


貴)弟達の面倒ずっと見てたからねー。
それにこんな「老害」に絡まれると、あのお母さんが余りに可哀想すぎて見ていられなかったから。


独歩)こらA、聞こえるって;;;


いや、聞こえるように言ってんだってば。


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