人との距離感は適切にしないと血液の流れ方が偏ります ページ33
そして部屋を後にした
来週は独りだ
最後困った顔で分かったと言った近藤さんを思い出しながら心の準備を整えようとする
雨は一向に止む気配はなく黒い雲が先程より低く空を覆い尽くしているように見えた
あの向こうが青空なんて信じられないな…
そんな事を考えながら縁側を歩いていると、戸が開き中に雨が吹き込んでしまっている箇所を見つけた
わわ…早く閉めないと…
大切な書類が濡れてでもしていたらと顔を青くして私は走り出した
あと少し…!
もう少しで手が届きそうなところで私の伸ばした手は空を切った
ズルンッ
「きゃッ?!」
開いた戸にばかり目を向けていたため床が濡れているのに気が付かなかった
倒れる…!
私は体への衝撃に備えてギュッと目を瞑った
「痛ッ…くな…い…?」
いつまでも訪れない痛みに私は目を開けた
すると目の前には先程部屋を荒らした張本人の総悟さんがおり、私を支えてくれていた
助けてくれたのか…
「…ったく何やってんでィ
廊下は走っちゃいけませんって習わなかったのかィ?」
年中廊下でもバズーカー撃ちまくりながら暴れてる総悟さんには言われたくないよ…
でも…
「助けて下さってありがとうございました
もう大丈夫です
あの…だから、離…して……?」
身長差でどうにか顔の距離はとれているが、総悟さんが顔を下げてきたら一気に鼻先が触れ合いそうだ
いやいやいや、言った…思った傍から下げてこないでー!?
「っ…ちょっ…近っ…総…悟さ……!」
顔に体中の血液が集中する
それを気づかれないように私は顔を背け、総悟さんの体を押して距離をとろうとした
しかし…
ズキッ!
「いッ…た……!」
倒れるのは避けられたが、滑った時に足を捻ってしまっていたようだ
体が崩れ落ちる
「A!」
結局総悟さんから離れるのには失敗し、崩れかけた私の体を先程よりも強く支えられた事でより顔が総悟さんの胸に埋もる
非番で普通の着物のため、総悟さんの体温や体つきがほぼ直に伝わってくる状態に更に顔に熱が灯る
「おいおい逃げンじゃねェよ…
足痛めたのか……
ヨッ…と…」
気づけば総悟さんの顔が目の前に
姫抱きにされていた
確かに足は守られるけれども…
「おい…A、顔赤ェぞ?」
顔はバッチリ見られちゃうから!
総悟さんは妖しく笑いながら
「熱でもあるんじゃねェかィ?」
絶対分かっててやってるでしょ…本当にこの人は…
「どれ俺が計ってやりまさァ」
コツッ
ついに顔が接触しました
二度あることは三度ある…かもね?→←幸せの在り方は人それぞれだが忘れちゃいけない幸せもある
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作者名:*kuro* | 作成日時:2019年6月9日 23時