=ゴリラ ページ5
少女は、総悟の言葉に頷いた。いや、頷かざるをえなかった。
それに満足したのか、総悟はまた少女の手を引いて歩き出した。
そして、ある部屋の前で急に立ち止まった。
少女は、それに反応しきれずに総悟にぶつかってしまった。
(今日はよくこの人にぶつかるな…)
そう思いながら、ぶつかった場所を撫でていた。
(面白いくらい俺の動きに引っかかってくれるねィ。)
そう思いながらニヤける口を、少女と繋いでいない方の手で覆った。
それを悟られないためか、入りやーす。と間延びした声で言って、またしてもノック無しに入った。
中には、土方と、もう1人…いや、1匹のゴリラがいた。
ゴリラと向かい合い、そして、総悟と土方に挟まれるようにして座った。
やっと手は離された。
ゴリラ「いやあ、君が総悟の連れてきたっていう女の子か!きれいな美人さんじゃあないかあ!いや、可愛いの方がいいのか?」
総悟「ンなことはいいから、さっさと話を進めやしょうぜィ、ゴリラさん。」
ゴリラ「ゴリラじゃねぇ!ゴリラっぽいだけだ!ていうか、表記!表記がゴリラのせいで本当にゴリラになっちまったらどうしてくれるんだ!」
総悟「それはもう大丈夫だと思いやすよ。アンタはもう立派なゴリラだ。これからも頑張ってくだせェ。」
ゴリラ「頑張るって何を?!人間になるために修行でもすればいいのか?なあ、トシ!俺は一体どうしたらいいんだー!」
土方「ハア……何言ってやがんだ。近藤さんは、近藤さんだ。ゴリラ以上でもゴリラ以下でもねぇ。」
近藤「トシ……!
ん?いや待てよ。…ゴリラ以上でもゴリラ以下でもねえって…結局ゴリラじゃねぇかあ!!
あっ、でも表記戻ってる!ヨッシャァァァァ!」
総悟「それは、近藤さんがイコールゴリラって認められたってことじゃァないんですかィ?」
近藤「………」
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私もう帰っていいかな。
少女がそう思ったのも無理はない。
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作者名:*kuro* | 作成日時:2019年6月9日 23時