【観音坂独歩】独歩との子育て日記 (ページ7)

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すっかり冬の冷気にお別れをして、道行く所に咲く花を見るようになった頃、私と夏歩は春の日差しを浴びに行こうと公園にいた。

今までベビーカーでしか外を散策出来なかった夏歩だけれど、ここ最近、なんと歩けるようになったのだ！！
少し平均よりも成長が遅かった夏歩を心配していたけれど、それは杞憂というもので、家の中を歩き回ってはイタズラする夏歩にちょっと困ってさえもいた

まぁ、順調に育ってくれている証だと思うから、それはそれでいいんだけどね

「夏歩～。あんまりお母さんを置いてかないで………」

意気揚々と広い公園内を歩き回る……いや、走り回る夏歩を追いかけるのは、少々27のおばさんにはしんどい。
体育の授業で、マラソン大会と称された川沿いをただただ走っただけのあの頃が懐かしいものだ。もどれ、私の体力

……と、突然夏歩がしゃがみ、足下にある大きな物体をしげしげと眺めているようだ

「夏歩…………な、なにして……はぁはぁ」

息も絶え絶えながらになんとか夏歩に追いついて、私は目を見開いた

無理もない。だって、夏歩が興味津々にツンツンつついている物体は………“人”だったから

「え………だ、大丈夫ですか？！」

このご時世に行き倒れ？！

なんて、焦る私は持っていた手提げバックの手を滑り込ませ、スマホを探す

ど、どうしよう。こういうときって何をすればいいんだっけ？た、確か学校で習ったような気がする。大声で助けを呼ぶんだったよね…？
そして、来てくれた人に通報とAEDの要請を……

大きめのバックを持ってきたことが不運だ。おかげでスマホが何処にあるか全く分からない。夏歩と初めて歩いて外に行くということで、浮かれていろんな物を詰め込みすぎた………！

後悔と焦燥感で顔が真っ青であろう私の顔色も気にせず、夏歩はその人の髪の毛を引っ張り出した

「…………あお」

確かに、その人の髪の毛は明るめの青だけれども！夏歩の髪の毛とは反対の青だけれども！他人の髪をそんなむしり取るような勢いで掴まないで！！

…………と、そこで私は夏歩の呟きによってあることを思いだした

あれ、なんかこの人……みたことがあるような

それも、町ですれ違ったとかそんなレベルじゃない。ここ最近ずっと目にしているような……

しかし、このシリアスな空気をぶっ壊す音が、彼のお腹から発せられた
ぐ～～～～～～～という、空腹をしらせるアレである