【観音坂独歩】独歩との子育て日記 (ページ3)

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「見て独步！！夏歩が、夏歩が立った！！」

「うわぁ、ホントだ！えっとカメラどこだ？」

「スマホ！！撮って！！」

興奮して叫ぶ私達。決して親バカじゃない

机の柱に掴まってヨロヨロと立ち上がった夏歩をなんとかスマホにおさめようとするけど、焦った独步が取り出したのはヒプノシスマイク。違う！それじゃない！！

確かに携帯型だから間違う気持ちは分かるけど落ち着いて！！スマホだ！！

「って、あー。座っちゃった……」

慌ただしい私達を嘲笑うかのように、夏歩はその場に座り込んでしまう。

「夏歩～～。そこ危ないから、こっちおいで」

座って夏歩と目線を合わせながら手を広げる。まだ身長が足りないとはいえ、テーブルの下は危ない

素直な夏歩は、なにがそんなに面白いのか、キャキャ笑いながらハイハイで此方へ移動してくる。

今だ！シャッターチャンス！！

「おーしおし、おいでー？いいこだからねー」

目配せして、怪しい笑みを浮かべながら夏歩を迎え入れる準備をする。独步も準備万端でスマホを構えた

しかし、私達の変な空気を察知したのか、夏歩は進行方向をずらして自分の部屋へと行ってしまう

「「ああーーーーー…………」」

同時に悲痛な声を溜息混じりに漏らす親バカ二人

……さて、こんなことをしている暇は私達にはないのです

「独步、会社」

「……………ああ、行ってくる」

会社の単語で、一気に負のオーラを醸し出す独步。あのハゲ課長は健在らしい

会社で独步がどんな扱いを受けているのかは全く知らない。でも、私達家族の為に頑張ってるのは痛いほど知ってるから

「はいはい、頑張れ頑張れ」

抱きしめてよしよしと頭を撫でると、グリグリと頭を肩に押し付けてくる。

「うう～～、いってきまーす」

「ん、いってらっしゃい」

名残惜しそうに頭を上げて、玄関へと歩く独步。バタンとドアが閉じる音を聞いて、子供部屋へと視線を移した

リビングと子供部屋は繋がっていて、いつでも夏歩の姿は確認できるけれど、それでも目を放しちゃ行けないって思うから

「夏歩ー？お母さんがぎゅーしようか」

近寄っていってそう聞いても、プイッと顔を横に背けられる

がーんとショックを受けながらも、抱きついてくる独步を思いだしてクスリと笑ってしまった

……………あれじゃあ、どっちが子供なんだか分かんないな