あのね30 ページ32
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「相沢さんっ!!」
「うぇっ………」
突然の大声に、びくっと身を強ばらせる。
独歩先輩はちょっと躊躇して、………私を抱きしめた
「せんぱ…………」
「ごめん、俺こういうときどうすればいいのか全く分かんないんだけど………でも、相沢さんは悪くないから」
「俺のせい。ごめん」なんて、続ける独歩先輩に、ぶんぶんと首を横に振った。
違う、独歩先輩は悪くなんかない。もともと歪だった私達の関係が、私の甘い考えで終わっただけだ。そのことを伝えようとしたけど、声が詰まって出ない
もどかしさに身をよじると、ポンッと頭に手が置かれた
「大丈夫、大丈夫だから……」
まるで、子供をあやすかのように私の頭を撫でながら、優しいトーンで「大丈夫」と繰り返す独歩先輩
じわっと、視界が再び滲んだ。今までに体験したことの無い温かさに動揺すると同時に、一言では表せない感情が溢れ出てくる
「涙は、我慢せずに流した方がいいよ」
「………独歩先輩の、シャツが汚れます」
独歩先輩の胸板に顔を埋めたまま呟くと、先輩はふっと微かに笑った
「俺のシャツの心配なんかしなくていいから……気にせず泣いて?」
「っ………う、ひっく……うわああああん!!」
それまで我慢してきたものが突き上げてきて、私は大声で泣いた。独歩先輩はその間ずっと頭を撫でてくれてて、その手に励まされるようにいろんな不安を吐いた
おかしいかもしれない、こんな短期間で一人の人を信頼して、その人の前で大声で泣くなんて
だけど、その短い期間で私は「観音坂独歩」という人間を嫌というほど知れた。
独歩先輩は癖毛で、隠れイケメンで、幼馴染み思いで、自分に自信がなくて、……馬鹿みたいに優しい人
独歩先輩も同じだろう。きっとこの短期間で、「相沢A」という人間を嫌というほど知ったと思う
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相沢Aは、ちょっとよく分からない人だ。
命知らずに屋上のフェンスを乗り越え、一二三のことで勘違いし、俺のことをいきなりイケメンだと言ってくる。
変わっているのかもしれない。実際陰気な俺に絡んでくる辺りでおかしい。………それは、一二三も同じか
でも、俺は今日一日だけで「相沢A」という人間を嫌というほど知ってしまった
相沢さんは、なんでも我慢してため込んでしまうタイプ。甘え下手で、泣き方が幼い。………そして、きっととても優しい人なんだと思う
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ゆの@ヒプマイ - amroさん» 応援のお言葉ほんと嬉しいです!拙いながらも小説の世界に読者さんを引きずり込めたみたいでよかった……。最後まで読んでくださり、ありがとうございました! (2019年1月13日 14時) (レス) id: 6eb8088052 (このIDを非表示/違反報告)
ゆの@ヒプマイ - 新田(仮)さん» うわぁ〜!もったいないお言葉ありがとうございます!!私も書いていて美味しかった……笑笑。最後まで読んでくださり、ありがとうございました! (2019年1月13日 14時) (レス) id: 6eb8088052 (このIDを非表示/違反報告)
ゆの@ヒプマイ - めぐみんさん» 終わり方自信なかったので、そんな風に言っていただけて光栄の極みです!最後まで読んでくださりありがとうございましたm(_ _)m (2019年1月13日 14時) (レス) id: 6eb8088052 (このIDを非表示/違反報告)
amro(プロフ) - 初めまして、コメント失礼致します。小説最後まで読みました。独歩と主ちゃんの関係が最高で中々素直になれない2人を無意識に応援しながら読んでました。これからも応援しています。 (2019年1月13日 11時) (レス) id: 18748080be (このIDを非表示/違反報告)
新田(仮) - んんんんんん()ラストめちゃよかったです…… 夢主たそのお母さんとの関係とか、夢主たそとどっぽっぽの不器用なかんじとか……めちゃ美味しかったですありがとうございました() お疲れ様でしたァァァァッッ(´ω`*) (2019年1月13日 8時) (レス) id: c6b51169dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆの@ヒプマイ | 作成日時:2018年12月8日 13時