【観音坂独歩】ねぇ、私実はね

あのね16 ページ18

独歩SIDE


最近、Aの様子がおかしい気がする



何か言い出すような素振りを見せたかと思えば、ちょっと躊躇して「何でもない」って笑顔で言う



俺に何か伝えたいことがあるのか……？もっ、もしかして別れ話とか！？！？



最悪な答えを思いついてしまい、ぶんぶんと頭をふってその考えを脳からアンインストールするけど、胸のモヤモヤはとれないまま



………可能性は、ゼロじゃない。だって、俺は只のしがないサラリーマンだし、ぱっとしないもうすぐアラサーのおじさんだし……いつも笑顔で明るいAとは釣り合わなさすぎる


そんな天使なAが付き合ってくれているってだけで奇跡なのに………陰気臭いおっさんが別れ話を切り出されても仕方が無い気がする



「っっA〜〜〜。俺のこと好き？」



キッチンに立つ彼女に抱きつきながらそう聞くと、君はん？と小首を傾げながらも「………好きだよ、どうしたの？いきなり」と答えてくれる



「あ″あ″あああーー、ほんと天使可愛い」



溜息混じりにそう言うと、苦笑を零すAの顔が目に入った。Aは、褒められ慣れていないのだと思う。そんなところも可愛い。癒し






＿＿＿もし、我が儘を言ってもいいのなら



そんな可愛いAと隣にずっといたい。こんな俺だけど、ずっと一緒にいてくれる？



「なぁ、A………」


「ん、なぁに？」


「＿＿＿＿やっぱ、なんでもない」


「えー、何それーー！」


「………いつか言うから」



一二三と今度指輪を見に行こう。そう心に決めて、君の膨らんだほっぺを指でつついた

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