日常その19 ページ22
「それじゃデートするでぇ！」
『デートじゃないって。』
「ノリ悪いなぁ……」
逆に聞くよ？
私とデートして何が楽しいん？
「何か気になるもんあるか？」
『んー、別にないかなぁ…服も足りてるし、リュックもこのサメちゃんリュックがあるし。』
簓に今背負っているサメちゃんリュックを見せる。歯の部分がチャックになっている可愛いやつ。意外と収納が便利で長年愛用してる。
「逆にそれ以外のリュック使ってるの見た事あらへんわ。」
うん。これしか使ってないもん。
『だから特に欲しいものとかない。』
昔から物欲がないと言われてきた。良い思った物があっても欲しいには繋がらないんだよな…
「へぇ。あ、あのピアスは？」
『え？あぁ、確かに綺麗。』
簓が見つけたのは四葉のクローバーの小さめなピアス。手にとって眺めると光に反射してキラッと輝いた。
「じゃぁこれ買ったる！」
『え？い、いいよ！自分で買う！』
「もぉ、彼女は甘えるもんやで？」
『甘える彼氏も居るんじゃね？……てか彼女やない！』
少しキツめに簓を睨むともともと開いてるかわかんない糸目をさらに細めて笑った。
「怖い顔すんなや。ほら、買ったるから待っとき〜。」
『え、あ、うん。』
ピアスを取ってレジにそそくさと行ってしまった簓を止めることに失敗し大人しく店前で待つことにした。
「オネーサン、綺麗っすね！一緒にお茶どうっすか？」
『え？お腹空いてないので……』
「そんなぁ、なら、連絡先！」
『あ、はい。えっとスマホは…』
サメちゃんリュックからスマホを取り出しLI〇Eを開く。
『はい！これQRコードです！』
「おぉサンキュ＿＿ﾋｪｪ！？」
『え？あ、簓。』
「お前さん何しとるん？この子、俺の女なんやけど。」
簓、顔が怖いよ？まさか、告白してきたと勘違いしてる！？
『ち、違うよ簓！この人は私に連絡先を聞いてきただけで、告ってきてないよ！』
「はぁ……Aちゃん、このご時世ナンパ知らん奴なかなか居らんで？」
『ナ、ナナナンパ！？』
「連絡先交換したならすぐ消せ。あと、俺達の前に二度と来るんやないで。」
「す、すいませんでした！」
「まったく。Aちゃん、大丈夫か？」
『う、うん。ありがとう。』
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作者名：黒綺 | 作成日時：2022年11月3日 23時
