子猫と勘違いして人間拾って来てしまった水柱さんの話。

人間 ページ28

「ぎゆーー！遊んで！！遊んで！！」
「……むふふ」





ぎゆーはAの一等お気に入り。





「A、今日はどこに行きたい……」




手をAに出しながらそう言ってくる。


「おかし！！おかしのお店！」



ぎゆーの手はAの手と違ってゴツゴツしている。
それで、傷痕もある。



「ぎゆーのおてては、石？」
「むふふ」




ぎゆーは青の目を細めて笑うだけ。



「Aの手は餅のようだ」
「もち？」
「もちもち」



手を繋いでいない方の手でAの頬をもちもちと触ってくる。



「ぎゆー！！やめて！！」



もちもちされるのは好きじゃない。
ぎゆーはよく意地悪してくる。



「ぎゆーがこれいじょう、意地悪するなら、A怒るよ！！」


ぎゆーにやり返しは、さねみにおぶって貰わないとダメだから、精一杯羽織を引っ張る。



「ぎゆー！！聞いてるの！！」
「可愛い」
「Aは可愛いもん！みつりがよく言ってくれるもん！！」
「むふふ」




ぎゆーが話をちゃんと聞いてくれなくて悲しくなってくる。
ポロポロと涙がすぐにでてくる。




「ぎゆーのいじわる……うぅ、ぎゆーきらい……」
「A！？」
「きらい！！もうぎゆーとはお別れなんだから！！」





手を離そうとすればふわりと体が浮いた。



「わぁ！」
「たかい、たかい」
「ぎゆー！！もっとやって！！やって！！」



何度も高くなったり、低くなったりして楽しい。
よくきょうじゅろうがしてくれるコレは楽しい。



「笑顔になった」
「もっと！」



ぎゆーはまた優しく目を細めてそっとAの頬に口を付けてきた。




「ぎゆー……？」






何となく、嬉しかった。
Aはぎゆーが一等お気に入り。






嫌い、っていつも言っちゃうけど、いつだってぎゆーがAの一等お気に入り。







「Aは柔らかいな。こんなにも温かい」
「？」





ぎゆーは時々よく分からない事を言う。
だけど、嫌な気持ちにはならなかった。




「今日は川へ行こう、Aの大好きな石積みをしよう」
「やったぁぁ！！」




＊


ぎゆーとAの日常。

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