22時間目 ページ24
「あぁ。降ってる…」
灰色の空を見つめると
ひとつ、ふたつと
次々に水の粒が降ってくる。
私が帰るまで、待ってほしかったな。
そう思いながら、折り畳み傘を出そうとすると
隣から、あ、と漏れた声が聞こえた。
「傘忘れた…」
声がした方を向くと
いかにも、やっちまったみたいな顔で空を見てる上谷くん。
流石にこの雨の量じゃ、傘なしでは厳しいと思う。
頭の中で考えながら、
手に持っている折り畳み傘を見つめる。
「……い、一緒に、帰る?」
その言葉が予想外だったのか
少し目を見開いて、
え?、と言うかの様に私を見た。
それに気付いて、咄嗟に両手を全力で左右に振る。
「い、いや。深い意味とかなくてね…。ただ風邪引いちゃうんじゃないかなーって____」
__思って。
そう言い終わる前に
上谷くんは、にっこりと笑っていた。
「ありがとう。羽澄」
思えば、初めて呼ばれた名前に
ほんの少しだけ、嬉しく思った。
ひとつの傘に、ふたりで入る。
その名前は、今は知らないことにしておこう。
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透空(プロフ) - ミクさん» 本当ですか!?嬉しいです! (2020年7月15日 0時) (レス) id: 0ba7269771 (このIDを非表示/違反報告)
透空(プロフ) - 雪華さん» ありがとうございます!頑張ります!! (2020年7月15日 0時) (レス) id: 0ba7269771 (このIDを非表示/違反報告)
ミク(プロフ) - キュン死する (2020年5月23日 15時) (レス) id: 1e828f9e08 (このIDを非表示/違反報告)
雪華 - 読んでてすっごいキュンキュンしました!更新頑張って下さい! (2020年4月28日 13時) (レス) id: c2d0832e50 (このIDを非表示/違反報告)
透空(プロフ) - カルリさん» ありがとうございますっ。もっと素敵になれるよう頑張ります!笑 (2020年4月2日 14時) (レス) id: eb1312b7ac (このIDを非表示/違反報告)
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