検索窓
今日:6 hit、昨日:7 hit、合計:35,316 hit

12時間目 ページ14

コンコンッ



控え目に準備室のドアをノックして

きぃ、と扉を開ける。

やけに静かだな、とゆっくり中へ入って行くと

何やら先生は真剣に本を読んでいた。

資料棚の前に立って本を開いている先生は

いつもより、"先生"らしかった。



「柚木せんせ…?」



小さく声を掛けると

先生は少し驚いた後、手に持っていた本をしまいながらにっこり笑った。



「あぁ、ハスミ。待ってたよ」



"ハスミ"


そう呼ばれた時に、何故かドキッとした。


なんか。


なんかね。



「違和感しかない」



眼を細めて、ジトーっと先生を見る。

その視線に気づいたのか、先生は少しむっとして言った。



「別にイイじゃん。"さん"付けるのメンドクサイ」



面倒くさいって…。

先生の返事に、そう返そうとしたけど

それは先生の声によって打ち消された。



「そんなことよりさ、授業寝る余裕なんてあるのかなァ?ハスミ?」



口元を弓の形にして、黒く笑う先生。

椅子に座るよう催促され、腰を下ろしながら思う。


完全に忘れてた。


それがバレないように

私はまた笑って誤魔化した。



(うー、恐い…)



そんな事を思って、うつ向いていると

先生が動く音がして

反射的に目を瞑る。


怒られるのかな。

そんな考えが頭の中をぐるぐる回っているとき

不意に頭を触られた。



「え…?」



理解ができずに固まっている私に気づかないで

先生は私の頭をぽんぽんと撫でた。



「ちゃんと寝なよ?毎日疲れてるんだからさ」



受験生だしね。

なんて付け足して

まだ私の頭をぽんぽんしてる。

それがなんて言うか、居心地が悪かった。


なんだろう。


なんか



むずむずする。

13時間目→←11時間目



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (60 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
79人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

透空(プロフ) - ミクさん» 本当ですか!?嬉しいです! (2020年7月15日 0時) (レス) id: 0ba7269771 (このIDを非表示/違反報告)
透空(プロフ) - 雪華さん» ありがとうございます!頑張ります!! (2020年7月15日 0時) (レス) id: 0ba7269771 (このIDを非表示/違反報告)
ミク(プロフ) - キュン死する (2020年5月23日 15時) (レス) id: 1e828f9e08 (このIDを非表示/違反報告)
雪華 - 読んでてすっごいキュンキュンしました!更新頑張って下さい! (2020年4月28日 13時) (レス) id: c2d0832e50 (このIDを非表示/違反報告)
透空(プロフ) - カルリさん» ありがとうございますっ。もっと素敵になれるよう頑張ります!笑 (2020年4月2日 14時) (レス) id: eb1312b7ac (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:透空 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年2月23日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。