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涼太さんからの突然の呼び出しに驚いたけど、
『うん、大丈夫。
事務所?』
「うん。
……ヒロさんがAに会いたいって……」
……え?ヒロさん?
『えっと……、うん、わかった………』
とりあえず、すぐに用意をして出ることを伝えると、事務所に着いたら連絡するように言われた。
涼太さんもちょっとちゃんとしないとってキメてたから……
私もある程度キチンとした方がいいよね……。
クローゼットに行って、残ってた中からきちんと感
のある洋服を選んで着替え、シューズクロークを見て、靴も合わせた。
軽くメイクをしていたら、
〈タクシー呼んどいたから、下でコンシェルジュに声かけて!
片寄って言ったらわかるから!〉
ってメッセージが届いた。
コンシェルジュ………そういえば……いたね…このマンション。
昨日、買い物に出た時に、めちゃくちゃ不審な目で見られた……。
バッグも合わせて変えて、財布とスマホと鍵だけ持ってエレベーターに乗った。
言われた通りにコンシェルジュのカウンターに行き、名前を名乗ると
「片寄様ですね…承っております」
と、お手本のような笑顔で言われて、ロータリーへと案内された。
タクシーに乗っても、行き先を言う前にはちゃんと把握されていて………
なんか…お嬢様にでもなった気分。
……というか………
ヒロさんって……あのヒロさんだよね……?
なんの用なんだろう……。
緊張というより……ちょっと怖いな。
それこそ、ホントに大反対されるのか…………。
事務所の前で降りて、涼太さんに連絡すると
「すぐ行くから、ちょっとまってて?」
って言われて待っていると、
リハ着姿の涼太さんが受付前まで来てくれて、こっちこっち!って手招きする。
涼太さんの表情はとても笑顔で……
「ごめんね?いきなり……何してた?」
……って片付けか……なんて、ひとり言で自己完結させながら廊下を歩く。
事務所も久しぶり……。
2か月くらい……?だけど、ずいぶん前のように感じる。
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作者名:ひな | 作成日時:2022年5月13日 23時