守られることになりました。【な組】

【第9話】 ページ12

(さとみside)

「Aトイレ行こー」

その友人なのであろう子の言葉に、俺の後ろの席の子は、あーいと気だるげな返事を返し、教室を出ていった。

A、と呼ばれた彼女が、恐らく、元総長である賢二郎さんの娘であり、今回キャッツアイの標的とされているAちゃん、という事で間違いはなさそうだ。

今回の作戦はこうだ。

るぅとの調べた情報によると、キャッツアイの奴等はその日の昼、学校の時間割で言うとだいたい五時間目辺りに学校へAちゃんを殺しに来るらしい。

確かるぅとは昨日の夜から数えて三日後と言っていたので、その日は明後日という事になる。

明後日の4時間目のどこかの時間で、席が1番近い奴……つまり俺が、Aちゃんに睡眠薬を嗅がせる。

そしてAちゃんがウトウトし始めたら、先生に、Aちゃんが体調悪そうだから保健室へ連れていく、と言ってそのまま教室を出る。

そしてそのまま俺達が用意した近くの倉庫までAちゃんを運び、俺はそのままAちゃんの見張り。

他の五人が学校に襲いに来た奴等を撃退する、という作戦である。

俺は、ふぅ、と小さく息をつき、考える。

Aちゃんに睡眠薬を嗅がせる時、Aちゃんだけに効果が出るよう、睡眠薬の作用が入った飴を舐めさせようと思っているのだが、その飴を渡すには、まずAちゃんとある程度仲良くならねばならなかった。

…取り敢えず、自然を装ってなんとか距離を縮めるつもりだが、思っていたよりAちゃんは無愛想というか、気だるげな感じで、俺は少し困惑していた。

あまり異性と話すタイプでもなさそうだし、転校生の俺達にもあまり興味を示していないし。

「……はぁ。」

俺は小さくため息をついた。

けれど、何があろうと絶対に成功させなければならない。

これは、俺達に与えられた、あの人……賢二郎さんからの、最後の依頼、なのだから。

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